ハム "水の流れ" 2025年5月14日

ハム
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@unia
2025年5月14日
水の流れ
水の流れ
クラリッセ・リスペクトル,
福嶋伸洋
衝撃的な読書体験でした。 かなり人を選ぶ難解な小説(小説と呼ぶのも賛否ありそう)だと思うけど、使い古され陳腐になった「今を生きる」なんてフレーズにとってかわる強烈な生への執着と諦念。 「今」に沈みこむこと、「今」に翻弄されること、そして「今」から立ち上がってくる何かに身を明け渡すこと。そこには過去も未来もなく、ただ無防備な感覚と即興的な応答だけがある。そしてそれは、不調和で、言葉にならず、だからこそ美しい。 それらを表現していく試みが、「香りを写真に撮るようなもの」として捉えられていることもオシャレ。 「意味」への不信と反抗、不安定で痛みとともにある存在として生き抜こうとする衝動の美しさ。 延々と詩的に語りかけるその作風は心を揺さぶられっぱなしだった。 「わたし」から「あなた」への壮大なラブレターにも取れるのがまた良い。 「世界文学の極点」とはまさに看板に偽り無し。 最高でした。
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