
サヤ
@sayaemon
2025年5月15日

眠りの庭(1)
千早茜
読み終わった
美術家を惹きつけるファム・ファタル小説は、時として女性本人の人格や意思が抜け落ちたまま描写されたり、欲望の鏡扱いされがちだけれども(最近も、そちらに振り切った作品を読んだなと思い出した)、女性性を持つ人の痛々しいほどの葛藤にもフォーカスして描いていたのが、さすが千早茜さんとなった。
すっきり解決、と言えるものはひとつも無く、情念、欲望、本質的な孤独に傷付ききった登場人物たちが、暗い夜の庭に取り残されるばかりの物語。
そう書くと、どうにも救いが無いように思えるけれども(実際そうだけれども)、その暗がりの芳醇さに、ついつい惹き込まれてしまった
