
はるにれ
@Elms1130
2025年5月15日

ナラティヴの被害学
阿部幸大
気になる
出版社(文学通信)のブログで第1章が読める。
著者は「わたしにとって人文学の究極目的は暴力の否定である」と言い切って、次のように書いている。
「われわれは誰しも、思考したり、発言したり、行動したりするたびに、そのつど被害性をまとったり加害性をまとったりすることを避けられない。われわれはそのような暴力と非暴力のあいだの、被害と加害のあいだのスペクトラムをたえまなく移動しているのであり、したがって、つねに非暴力の側に立つことは構造的に不可能である。」
「暴力とは、一部の乱暴者だけがふるうものではない。常識人たるわれわれもまた、いとも簡単に加害性に連座してしまいうる。そのことについてクリティカルに、そしてラディカルに考えてゆくために、まずわれわれ自身を暴力の、加害の側に、立たせる必要がある。」
明快で潔い。この気構えを持って、読書をしたい。



