
ユメ
@yumeticmode
2025年5月14日

まだ温かい鍋を抱いておやすみ
彩瀬まる
読み終わった
心に残る一節
感想
彩瀬まるさんの文章には、登場人物に対してまったくの他人事でいることを許さない鋭さがあるように思う。読んでいるうちにいつのまにか物語の内側に取り込まれ、内省を促されているのだ。そこが私は怖くもあり、好きでもある。家族と自分との自他境界について考えさせられる「シュークリームタワーで待ち合わせ」が特に刺さった。
どのお話でも食べることと生きることの切実な関係が描かれているのだが、「シュークリームタワーで待ち合わせ」に出てくる、料理研究家である主人公と幼い子どもを亡くしたばかりである友人の
「食べるってすごい。すごくて、こわいね」
「こわい?」
「生きたくなっちゃう」
というやりとりが印象に残っている。



