
阿久津隆
@akttkc
2025年5月18日

原因
トーマス・ベルンハルト,
今井敦
読んでる
FAカップの決勝を最後まで見ていい試合だった。一点を守り切る試合って大好き。感動するので感動した。優勝したパレスの選手たちみんな嬉しそうで優勝後の時間というのはなんだっていいもので見ているほうまでニコニコしてしまう。グラスナー監督はオーストリア人ということでどこ出身なんだろうと調べるとザルツブルクということでちょうど通勤の電車の中で読んでいた『原因』で「ザルツブルクは、世界が絶えず嘘の上塗りを繰り返す卑劣な外装であって、その外装の裏で創造性(あるいは創造的人物)は、萎み、朽ち果て、壊死するしかない」と語られる町で「本当に私の故郷は死病そのものであって、住民はこの死病の中に産み落とされ、引きずり込まれる」と語られる町で「もし、彼らが決定的瞬間にこの町を去らなかったとしたら、遅かれ早かれ、この凄まじいすべての状況の中で、直接的にまた間接的に、急に自分の命を断つか、ゆっくり惨めったらしく、根本において完全に反人間的で、建築的・大司教的・痴呆的・ナチス的・カトリック的なこの死の土壌の上で、直接的にまた間接的に滅ぼされたことだろう」と語られる町で「ザルツブルクとその住民を知る者からすれば、この町は、表面こそ綺麗だが、実のところ裏では、空想と希望の恐ろしい墓場となっているのだ」と語られる町でグラスナー監督は生まれて昨日FAカップ初のオーストリア人優勝監督となった。本当にいい試合だった。









