りゅーいち "東京都同情塔" 2025年5月18日

東京都同情塔
東京都同情塔
九段理江
おもしろかった!おもしろかった?2023年下半期の芥川賞受賞作。小説内の5%くらいは生成AIが書いた文章を使っているとのことで、どんな小説になるのか気になって読んだ。 人間が書いたり、思ったりする生の文章と、生成AIが書く血の通っていない薄い(気がする)文章が混じり合うと、境目なくおもしろく読めるんだなと興味深かった。ここはAIだなというのははっきりわからなくて、ここかな?と感じながら読むのもおもしろかった。AIを使ったと公言していることで、逆に人間が書く文章のおもしろさを見せつけられた感じがして愉快だった。 オリンピックのこと、SNSのこと、性被害事件のこと、日本人のこと、AIのこと、多様性、平等、、、その時(から今も続いている)社会の空気感がたくさん詰まっているのもおもしろくて、読みやすかった。 感想を書こうとぱらぱら読み返してみると、どこを切り取ってもおもしろい文章!と感じて、おもしろい文学ってストーリー性より、文章自体の鮮やかさや個性や興味深さなどを楽しむものなんだなあと改めて思った。
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