秋
@sophie_pf
2025年5月19日

古都
川端康成
読み終わった
川端康成の視ていた世界のガラス細工のような繊細さは、私の心をほとんど触るか触らないかのようにして、刷毛で優しく整えてくれる。千重子と苗子、ほんの少しの変化で大きく川の流れを違えたふたごの、京都での暮らしと交わり、心の移ろいを描く。終始、京都の風景が目に映るようだったけれど、それこそ手に触れることのできない「幻」そのもののような気がした。終幕が冬だったからだろうか、冬の空気を私の中に残して、小説を読み終えた。ただ、好きだった。

