古都
46件の記録
ユースケ@yusuke_11302026年3月18日読み終わった@ 電車八重子の父、太吉郎が市電で見知らぬ少女に目を留める場面。単なる背徳趣味ではなく、捨て子である千重子への転移されたまなざし——「本当の娘ではない」という罪悪感が、安全な距離の他者へと投影される。川端において若い女性の美は常に官能と滅びを内包し(『雪国』『眠れる美女』に一貫)、「見る/見られる」の非対称性こそが罪の甘さを生む。そしてこの「届かないまなざし」は、後の千重子/苗子の二重性へと接続する。同じ顔をした他人への眩暈——川端の美学の核心。
浮舟@ukibune_19912026年3月7日感想古都のあとがきにもある通り、川端康成が睡眠薬を多用していた時期であり、病院に運ばれ生死の境を彷徨い目を覚ますと、どんな物語を書いていたのか覚えていなかったらしい。 そんな珍しい作品ではあるが、古都自体も少し風変わりであり、川端康成の特徴である見つめる行為と極めて受動的な態度が主人公には無い。 雪国の島村、山の音の信吾、千羽鶴の菊治、眠れる美女の江口、彼等はみな主体的に動かず、相手を手に入れようとしない。しかし、古都では千重子が苗子に対して複雑な感情から養子として来ないかと誘っている。この主体的な行動が川端康成の中で異質である。川端康成の虚無の中にある温かさが睡眠薬によって表れたのか、それとも女性だから自己投影しなかったのか理由は不明である。 また、生き別れの双子である千重子と苗子には身分の違いがあり、教養も異なる。苗子の希望と身分の違いから生じる絶望の狭間にいつも通りの幽玄な世界が広がっている。 古都は温かさと切なさが同居している奇妙でもあり、複雑でもある不思議な作品だ。 またいつか読み返してみたいと思う。
Shiori@naughtyrundy2025年11月22日読み終わった京都の四季や自然の美しさがところどころに散りばめられていて凄く趣のある作品だった。生き別れた双子の姉妹があまりにも違いすぎるお互いの境遇を思いやりつつ支え合おうとする姿がが温かくもありとっても切ない。


はづき@paroles11182025年10月29日読み終わった最初は京都弁が難しく、すべての会話を理解できてるか、といわれると怪しいが、それも含めてとても心地よい世界でした。 庭のもみじの古木の幹の、1尺ほど離れている窪みにそれぞれ、菫が咲いている。その描写が美しい。その菫たちはお互いのことを「知って」いるのかと想いを馳せる千重子。 春からはじまり、冬で終わる京都での営み。 これからどういう人生を歩むのだろうかと、もう少しだけ覗かせてほしかった。

mio@y_________io2025年9月24日読み終わった京都弁、読むの難しかった… でもそれ以上に、京都特有の湿度を含んだ空気が伝わってくるような気がして。 川端康成の作品ってどれも“艶めかしい”がしっくりくる。


アネモネ@anemone2025年9月17日読み終わった捨子ではあったが京の商家の一人娘として美しく成長した千恵子は、自分に瓜二つの村娘苗子に出会う。京都の景色を流麗な筆致で描いていて、美しい作品である。京都の地図を開いて、地名を確認しながら読み進めた。日本文化って素晴らしい。



読書日和@miou-books2025年8月22日読み終わった昭和36年に新聞連載小説として発表された本作は、京都を舞台に、四季折々の風景や年中行事、名所旧跡とともに物語が静かに、物語が進む。 当時の京都の空気感にどっぷりと浸れる幸せ。 物語の主人公は、老舗呉服店の一人娘・千重子。美しく育った彼女には出生の秘密があり、祇園祭の夜、偶然にも生き別れとなっていた妹・苗子と出会うことで、運命の歯車が動き始める。 千重子の思いやりに満ちた優しさと、苗子の控えめで健気な姿。お互いを思う気持ちが言葉以上に伝わってくるようで、現代では見かけることの少なくなった、奥ゆかしい美徳に心がふくふくと温かくなりました。 自然、伝統、そして人の心の機微。「日本の美」を言葉で改めて感じさせられる一冊です。 ラストには深い余韻が残り、読む人によって解釈が異なるのも、大きな魅力なのかも・・。 静かで美しい時間をくれる、とても素敵な作品に出会えました。それにしても千重子モテすぎ!
- 秋@sophie_pf2025年5月19日読み終わった川端康成の視ていた世界のガラス細工のような繊細さは、私の心をほとんど触るか触らないかのようにして、刷毛で優しく整えてくれる。千重子と苗子、ほんの少しの変化で大きく川の流れを違えたふたごの、京都での暮らしと交わり、心の移ろいを描く。終始、京都の風景が目に映るようだったけれど、それこそ手に触れることのできない「幻」そのもののような気がした。終幕が冬だったからだろうか、冬の空気を私の中に残して、小説を読み終えた。ただ、好きだった。


あんどん書房@andn2024年10月31日読み終わった雪国も伊豆の踊り子もピンと来なかったけれど、こちらはなかなか好きなの感じだった。(戦後文学に慣れてきたのもあるかも) 最初あらすじだけ見たとき「森見登美彦的な、現実と非現実が交差する話?」と思った。幻想的な部分はあったけれど、非現実ではなかった。 さすがに京都小説の代表作というだけあって、四季の描写や祭りの説明には力が入っていた。中心部と周縁部の文化的な違いとか、観光地化してゆく商いの姿とか、京都のいろいろな側面が見える小説。 自然の描写はとにかく綺麗だ。平安神宮の桜を描いた 「西の回廊の入り口に立つと、紅しだれ桜たちの花むらが、たちまち、人を春にする。」という一文が割と初めの方に出てきたけれど、ここでぐっと引き込まれた。こういう文章書けたらかっこいいよなぁ。 今後京都に行くたびにこの作品の場面をぼんやり思い出すだろうな。 本文書体:リュウミン 装画:森村玲「伏見 千本鳥居」 デザイン:新潮社装幀室



























