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@sophie_pf
  • 2025年5月19日
    古都
    古都
    川端康成の視ていた世界のガラス細工のような繊細さは、私の心をほとんど触るか触らないかのようにして、刷毛で優しく整えてくれる。千重子と苗子、ほんの少しの変化で大きく川の流れを違えたふたごの、京都での暮らしと交わり、心の移ろいを描く。終始、京都の風景が目に映るようだったけれど、それこそ手に触れることのできない「幻」そのもののような気がした。終幕が冬だったからだろうか、冬の空気を私の中に残して、小説を読み終えた。ただ、好きだった。
  • 2025年5月6日
    岸辺のヤービ
    岸辺のヤービ
    待望の梨木香歩さんの児童書。恐らく英国と思われる国のとある湖畔にて、ひとりの教師と、小さなネズミのような、ハリネズミのような不思議な生き物、ヤービたちの日常が綴られる。昔の翻訳された児童書のような佇まいに、ファンタジーに迷い込む楽しさを思い出した。
  • 2025年5月3日
    夏子の冒険
    夏子の冒険
    三島が26歳の時の著作。私も、あと十日で26歳になろうというところだ。 三島というと、真っ先に思い浮かぶのはやはり自決で、著書も暗澹として、混迷を極めるイメージ(村上春樹が三島を好んだという情報が前もって入っているからでもある)だが、本作はコメディで明るく、コミカルなタッチ。我儘で奔放、刺激を追い求める美しい少女、夏子の北海道での出来事を描く。人間の細かな心情の揺らぎや、相反する感情など、共感できる描写が多々あり、テンポも良く、面白い作品だった。
  • 2025年4月27日
    雪国
    雪国
    初めての川端康成。葉子と駒子の人情や暮らしの覚悟、その醜さ、美しさ、雪国の空気のような澄んだ情緒を、島村という眼鏡を通して垣間見る。駒子の抱く、葉子に対する劣等感の描写が、クライマックスにおいて『駒子は自分の犠牲か刑罰かを抱いているように見えた。』という文へと収斂していく。その文脈に、鳥肌が立った。
  • 2025年4月24日
    春の雪
    春の雪
    初めての三島の読了本。 過ぎゆく風景や心象描写の速度感が、自分の認識速度が異様に速くなっていることを気づかせてくれる。清顕の狂おしいほど素直な感受性、世の中の道理に締め付けられつつも、自由を望む息苦しさ、それを叶えている自身に対する陶酔。全てに身に覚えがあり、そしてまた、聡子の決心にも同性として共感する。全ての登場人物が、断片的にわたしそのものであると思える小説だった。
  • 2025年3月8日
    朱より赤く
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