
菜穂
@mblaq_0825
2025年5月20日

忘却の河
福永武彦
読んでる
本のある暮らし
積読家
読書会すみれ
輪読会
輪読会にて
第5回
「三章 舞台」「四章 夢の通い路」P143~P176
三章は次女のことを語られるのですが、ここで何度か母が譫言(うわごと)である男性の名前を言っていたことがわかります。そして、次女はその男性が母にとって大切な人であることも分かっているし、もしかしたら……という疑念も。
自由人のイメージだった次女ですが、彼女も彼女なりに抱えている闇のようなものがありました。そしてその中に真実の愛を追求しているようなところも感じます。
四章は母の語り。
どことなく冷たさを感じていた母でしたが、病気で寝たきりの中、その内にある想いは想像以上に切ないものでした。
譫言に出てきている男性との関係も気になるところ。
時折挟まれる式子内親王の歌がより切なさを強調しています。
ここで、章タイトルの横に引用文があるものとないものがあるのですが、引用文のある章は一人称で語られ、引用文のない章は三人称で語られていることが判明。これがこの物語にどういう作用をもたらしているのかはこれから徐々にわかってくるのでしょうか。
また、それぞれ別の方向を向いてしまっているこの4人家族はどのような結末を迎えるのかも気になります。


