DN/HP "深層地下4階" 2025年5月21日

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2025年5月21日
深層地下4階
深層地下4階
デヴィッド・コープ
SFな設定をエンタメ的なスピード感とフックのある演出で描いていくのだけれど、そのなかで印象的にしっかりと浮かび上がってくるのは、登場人物にたしかにある、あった、それぞれの解決していない人生だったりして。起こる“事件”の質や規模はだいぶ違うけれど、読み心地は犯罪小説のそれに近いような気がした。好き。思いがけず、これも“読みたかった”小説だった。 古本屋で読んだ裏表紙のあらすじを読んだときは、これは“午後ロー”みたいに読みたいな、なんて思っていたし、解説を読むと『ジュラシック・パーク』や『ミッション・インポッシブル』の脚本家が書いた小説で、なるほど、なんて思ったりもした。読み始めてみると、平日の午後になんとなくTVで観はじめる大作というより、平日の深夜にしっかり目にセレクトして観はじめる90分くらいのマイナー作、それも犯罪映画の感じだった。 というのは伝わりにくい気がするけれど、そんな映画が予想以上に素晴らしかったときには、これはわたしがみつけた傑作だ、的な勘違いと感動と喜びを感じる。この小説の読後にも同じものを感じていたのだった。傑作では。ちょっと無理して映画に喩えようとしているのかは謎である。 ハーパーBOOKSはあなどれない、というか信用できるレーベルになってきた。
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