
にくみ
@2k3k2
2025年5月21日

世界99 下
村田沙耶香
読み終わった
ネタバレあり。
世界99下巻。
年齢を重ねてゆくほど主人公の関わる世界が減って役割がなくなって賞味期限が切れて身軽になりからっぽになってゆく中、最後に役目を与えられる構図、救済、という言葉があまりにしっくりきて後半夢中で読んでしまった。救われる方法、終わりの迎え方、世界との接続を外してゆく感覚。どれもうっすらと覚えがあって、でもまだ完全にはできてないものたちで、モデルケースを見ているよう。
最初に空子を分裂させひとりの人格を発生させた女性である白藤さんと、空子を世界の当事者にした女性の音ちゃんが晩年の空子にちゃんと関わってその人格みたいなものを消費して自分の生きる糧にしていってるの、共食いの構図を感じさせて、それもかなり好きでした。
というか、空子の願望や自認はおいといて、彼女の自我の始まりと終わりは白藤さんだったんだなということを知り、それはたまらなく痺れるな、と手を叩いて喜んでいる。
2人は友達でも家族でもなかったのにね。
