
はるにれ
@Elms1130
2025年5月21日

王朝奇談集
須永朝彦
読み終わった
読書メモ
説話集は文句なく面白い。名だたる作家たちが短編の元ネタとして使うのも納得がいく。王朝奇談というだけあって、典雅な話も選ばれているけれど、私は騒々しい話に惹かれるみたい。
後半のお気に入りは、巻貝が食べられる直前に、たくさんの小さな尼の姿になって夢の中に現れ、「それぞれに泣き悲しみ、様々に掻き口説いた」という話。蛤が夢に現れた人もいるらしい。酒蒸しを作る時に、アサリが次々と口を開けていく様子を思い浮かべると、無数の尼さんが口々にしゃべっている姿と重なるかも。
貝は「生きたままのものを食うゆえに、斯様に夢にも現れるのであろう。無惨な事ではある。」と話は締めくくられている。説話集だからね。でも、活きのいい貝なんて、最近なかなか手に入らないから、尼さんたちがわーわー騒いでいる夢を見てみたい気持ちもする。





