
きみ
@kimimi
2025年4月29日

君が夏を走らせる
瀬尾まいこ
読み終わった
瀬尾まいこさんのお話は、運命とか成長とかそういった言葉とは遠い、ささいな日常を描いているところが好き。それでも、関わる人と人の日々の積み重ねでちょっとだけ変わるところもある。
優しくてでもどうしようもないところもある、ごくありふれた日々を送っている人たちで、その人間くささが愛おしい。等身大で心地良い物語だと思う。
世界へのまなざしが丁寧だなぁとほれぼれする作家さんです。
太田くんがまた走ることに向き合うお話なのだろうかと途中は思っていたけれど、最後まで近所をただ走る姿がいいなと思った。
彼は中学生の頃から、ふとよばれた駅伝でも走っていける。子守りなんて縁がなかったのに、鈴香と全力で向き合うことができる。
バイトを終えた太田くんの清々しさは彼がもともと持っていた素質なんだと思った。
これからどこへでも行ける彼の、物語の途中をすこし覗かせてもらったみたいだった。



