
藤野ふじの
@fujiponsai
2025年5月23日

片付かないふたり
村崎なつ生,
眩しい
読んでる
「片付ける」ということはどういうことなのだろう。Role modelを作って働くことが推奨されたりすることもあるけれど、本作の主人公・憂は「奈々さんになりたい」と言い続ける。奈々さんのように仕事ができる、ではなくて「なりたい」。その根底にあるのが「責任をとる」ことへの怖さなのだと読み進めるうちに感じた。誰かになりきれば、その判断基準はすべて誰かのもので、自分のせいではない。自分自身を奥に押し込めてしまうだけでは、それは見えていないだけで片付くことにはならない。
偶然出会い、一緒に暮らすことになる「すずり」は、憂と真逆価値観を持つように見えるが……。言葉を交わしながら少しずつ変わっていく関係性が見事で、脇役もここでは書かれない物語が詰まっているんだろうと信じうる造形で、彼らの関係性が立体的になる(特にダイキ!!!)
最後の最後のふたりの関係性もすごく良かった。この終わり大好き。
