片付かないふたり
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穂積໒꒱@hozumi_2026年2月28日感想他人に憧れてばかりの憂と自由奔放なすずり。ひょんなことから始まったふたりの奇妙な同居生活と「自分らしさ」をめぐる物語。 憂さんの他人に憧れてばかりで自分に自信がないところに共感。些細なことで人と比べて自分がどんどん嫌になっていくところとか自分に自信がなくて好きなものにも自信がなくなる感じがすごく分かる。常日頃自分が考えていたようなことが言語化されていて分かる分かると心の中で何度も頷いた。 ただ、憂さんと私の違うところを挙げるとしたら、憧れの形が違うところと憧れの人に忠実なところだと思う。私の憧れの形は、憧れの人自身になりたいと思う憂さんとは違って、憧れの人のそばにいられる、いる資格のある人間でいたいという感じで、あくまで自分は自分でいたい気持ちが大きい。その点、憂さんは憧れの人に忠実で、隅から隅まできちんとその人の真似をして自分に落とし込もうとしてる。私はそこまでストイックには行動できないし、実際になりきることになったとき自信を持って「この人ならこうする!」と思って行動できないと思う。だからこそ、居酒屋のシーンは憂さんの行動力と自信にすごいと思った。でも、そこでなりきっているのはあくまで憂さんから見た奈々さんの姿だよなとも思った。 章が進むにつれて憂さんが変わっていくところが特に好き。すずりのことをちゃんと知ろうと、依頼に応えようと真剣に向き合っているのが分かるのが良い。すずりに向き合いながら自分にも向き合って、「自分らしさ」に答えを出しているのが、読んだときの自分の状況も相まってグッときた。「効率よくいこうよ」の言葉を最後に憂さんからすずりにかけるのも良い。最後の章は、寂しさも残るけど、この物語の終わりとして最高の終わり方だと思う。自信をなくしたり他人が羨ましくなったり「自分らしさ」が分からなくて苦しくなったりしたときに何回でも読み返したい。 だいぶ遅くなったけど感想まとめ


みちほ@full1moon5blue2025年7月13日読み終わったどこまでもやさしい物語だと思った。綴られることばはもちろん、自分ではない誰かになりたいと思う気持ちも、他人から否定されるのがこわくて何も選べないことも、この物語は否定しない。現実を突きつけられたとしても傷を傷のままにせず、寄り添って、その人の思いを捨てさせやしなかった。大丈夫、と包み込んでくれる軽やかなあたたかさが、不安な気持ちを片付けてくれた。いつか忘れてしまうとしても、この作品を読んで抱いた感情を、私はきっと覚えているだろう。いろんな人に読んでほしい。
むとーり@inemuri2025年6月11日ノベル大賞で好きな路線の作品が出てくると嬉しい。自分のことをうまく決められない主人公が、片づけの達人に師事するようになり、人生快適になった気がする!けど周りにひかれてる……? そんな時に不思議な青年と同棲生活することに?? 自分のこと決めるのへたっぴ、部屋片付かないっぴ人間としては共感するところが多かった。あと、「恋愛感情ゼロな男女の同棲もの」がやっぱ好きだな、という。友情的な絆され方はするけど、恋愛感情ではない描き方が良い……。
藤野ふじの@fujiponsai2025年5月23日読んでる「片付ける」ということはどういうことなのだろう。Role modelを作って働くことが推奨されたりすることもあるけれど、本作の主人公・憂は「奈々さんになりたい」と言い続ける。奈々さんのように仕事ができる、ではなくて「なりたい」。その根底にあるのが「責任をとる」ことへの怖さなのだと読み進めるうちに感じた。誰かになりきれば、その判断基準はすべて誰かのもので、自分のせいではない。自分自身を奥に押し込めてしまうだけでは、それは見えていないだけで片付くことにはならない。 偶然出会い、一緒に暮らすことになる「すずり」は、憂と真逆価値観を持つように見えるが……。言葉を交わしながら少しずつ変わっていく関係性が見事で、脇役もここでは書かれない物語が詰まっているんだろうと信じうる造形で、彼らの関係性が立体的になる(特にダイキ!!!) 最後の最後のふたりの関係性もすごく良かった。この終わり大好き。












