blue-red "東京都同情塔" 2025年5月19日

blue-red
blue-red
@blue-red
2025年5月19日
東京都同情塔
東京都同情塔
九段理江
芥川賞受賞作に言うのも失礼な話だけど、グルーヴ(本書の言葉でいえば「フロー」)の効いた読み易い上手い文章で、グイグイと読まされてしまった。バベルの塔や言葉の壁がモチーフなのに、小説そのものはとても読みやすいというアンビバレンス。著者の他の作品も読んでみたい 場面や状況の展開そのものはミニマムで、ほとんど登場人物の思考や会話で占められる。何やら社会性や政治性を誘起する設定の小説だが、良くも悪くもテーマの重さは感じさせない。宣伝されてない本書のもう一つのテーマは建築・建築家の持つ欲望についてだと思うが、個人的はそちらの方にアクチュアリティを感じ、今後も気になりそうな概念だ。 些細な点だが指摘しておくと、登場人物に死去をもたらすために精神的な異常者を物語ご都合的にその場限りで用いるのは好きじゃないな、とサラ・マキナのように頭の中の検閲が
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved