ゆい奈 "文にあたる" 2025年5月24日

ゆい奈
ゆい奈
@tu1_book
2025年5月24日
文にあたる
文にあたる
牟田都子
校正者というのは言葉のプロであると思っていた。思っていたし、この本を読みおわっても、やはりプロだと思っている。すこしかわったのは、言葉の、というより、あらゆることへ疑いをむけ、そして疑わしきものを徹底的に調べ上げるプロ。すっげ〜〜ヒョエ〜〜となったのは「集中して仕事ができているときには自分でも、辞書を手に取って当たりをつけ、親指の腹に力を込めて開くと、目的のページを開くことができます」というところ。人間にそんなことができるのか…カミワザ…となりました。すごい。かっこいい。牟田さんの誠実さが存分に伝わってくる、いい本だった。 p101「本はかならずしも意図したように読めれるとは限らない。誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、誰かにとってはかけがえのない一冊である。その価値を否定することは誰にもできない。著者自身さえも。」 意図せず出会えたエピソードでほほ〜うとなったのは、ねじまき鳥の残酷な描写部分について、翻訳者から村上春樹へいくら話題を振ってもその話をしようとしなかったというところ。牟田さんの言葉を借りると、読者のわたしは目を瞑ることのできる贅沢な読書をしたわけだけど、そうだよな、著者はきっととんでもない状態だよな、と思い、作家すげぇ、翻訳者すげぇ、校正者すげぇだった。別の本に書かれていたと思うけど、たしか湊かなえさんはキーボードに鼻血をぼとぼと落としながらも、逃げるな、向き合え、逃げるな、と自分を鼓舞しながら辛い描写を書いているとかなんとか。すごいよなあ……
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