
ハム
@unia
2025年5月25日

ペンツベルクの夜
キルステン・ボイエ,
木本栄
読み終わった
ペンツベルクでの惨劇については本書で初めて知った。
短い話ながらさまざまな人の視点で語られるため、それぞれに正義があるというか、どちらが絶対的に正しいとか悪だとか言えないもどかしさがある。
その証拠に、惨劇に加担したナチスの将校らは全員が後に無罪になった。
ただシステムに組み込まれた、責任の主体がない存在。アイヒマンのような構造がここにも見られる。
先に読んだ「スマートな悪」とリンクする。
戦争を知らない世代としては、どうしてこんなことができるのだろうと思わずにはいられないけど、現代にもこうした例は多くあり、戦争を語ることの意義は安易な戦争反対ではなく、人間の振る舞いや構造にどう向き合うかを議論することにあるのだと思った。




