
橋本吉央
@yoshichiha
2025年5月26日

ベンジャミン・バトン 数奇な人生
フィツジェラルド,
永山篤一
読んでる
表題作「ベンジャミン・バトン」読了。老人として生まれ、歳をとるごとに若返っていく不思議な話。
最後、ベンジャミンは赤ん坊にまで戻り、過去の記憶を微かに思い出しながら意識が曖昧となって終わっていくのだけれど、これはきっと老衰でも同じなのではないかと思う。だけど、赤ん坊となって人生が終わるというプロットによって味わいが違う。
地域の名士であった人物が歳をとって亡くなるなら、家族や親族その他多くの人に囲まれ偲ばれると思うのだけど、若返り子どもとなり赤ん坊となったベンジャミンのそばにいふなは乳母だけ。
子どもは将来を期待され、周囲から愛されるはずであるのに、ベンジャミンは成長ではなく幼児化していくゆえに、周りの人々は彼を置き去りにしていく。人との繋がりを切り離して、人生の終わり方を他にないかたちで孤独に描いていて、心に残る。