JUMPEI AMANO "軍事化される福祉 米軍統治下..." 2025年5月27日

JUMPEI AMANO
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年5月27日
軍事化される福祉 米軍統治下沖縄をめぐる「救済」の系譜
終章は「コザ暴動」の描写から始まる。復帰直前のコザの日常に束の間ひらいた〈裂け目〉から、どのような風景が見えるのか。 本書の重要なテーマのひとつは〈統治権力に取り込まれつつも、統治の網をかいくぐり、揺り動かし、超えていこうとする人びとの「生への意思(will for life)」の痕跡を書き留めること〉だったと著者は綴る(286頁)。 福祉(ウェルフェア)と戦争(ウォーフェア)の複雑な絡み合いを分析し、その状況下でも命をケアし、守ろうとした人びとの日常的な抗い(生への意思)に焦点を当てること。 解放とは程遠い本土復帰という〈新たな「琉球処分」〉(289頁)後、「沖縄振興開発」の名目で基地中心社会が維持された。人びとの間に走った無数の亀裂、すなわち協力と抵抗、支配と被支配の二元論という対立的な枠組みをずらすために必要な作業がそれだったのだろう。 重厚な研究で、一読で全てを消化することは(当然)できなかったけど、読めてよかった。
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