軍事化される福祉 米軍統治下沖縄をめぐる「救済」の系譜

19件の記録
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月25日まだ読んでるお風呂読書第四章読み終わる。 計画移民、集団就職、結核患者の本土送り出し事業。〈土地から立ち退きを迫られ、「過剰人口」とされた人びとは計画移民として沖縄を離れ、残された人びとも、国家福祉の対象となるためには、自己規律し、戦中の経験を国家への忠誠を証明するための犠牲の経験として語り直す必要があった。/復帰の日が近づくにつれ、沖縄の思想家たちの文章は、国民統合の瞬間を祝うのではなく、むしろ死への恐怖に満ちたものになっていった。〉(266頁) 川満信一の「沖縄ではその『死者』としての位相からすべてを発想するほかないのである」という言葉や、友利雅人の「あまりに沖縄的な〈死〉」という表現が最後に重くのしかかってくる。次が最後の章。いよいよ。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月25日まだ読んでる自宅第四章五節まで。 「救済の法」の対象となることと引き換えに「軍事基地」の引き受けを強要されること、「抵抗する主体」ではなく「申請する主体」とされていくこと、「乞食行進」と「島ぐる闘争」、「排外的な包摂」の進行、「統治の正常化」と本土復帰、等々。「土地」と「命」をめぐるこれまた非常に重要な章...。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月25日まだ読んでるカフェ読書第三章読み終わる。 〈「ナイダス」とは、動静脈が短絡する異常な血管の塊や、感染の中心点または病巣を示す。[...]「生かす/殺す」テクノロジーを複製し、それを輸出させる場という意味で、ハワイはまさにアメリカ冷戦帝国の「ナイダス」であった。/さらに、米国式の医学教育のネットワーク化がもたらすことの意味を、より長期的な植民地主義や人種主義の歴史性に位置づけで検討する必要もあるだろう。〉(198頁) 最後の脇川清栄の「植民地大学には転落するな」という警句が重い。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月23日まだ読んでるお風呂読書第三章三節まで。日本と米国、沖縄、台湾、他の東アジア諸地域をつなげた「第三国研修」が、冷戦秩序の構築にいかに寄与したのか。アジア太平洋地域における開発援助事業(特に技術移転や人材育成)に、ハワイの東西センターがどような役割を果たしたのか。太平洋を通して見えてくる歴史...
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月22日まだ読んでる就寝前読書お風呂読書第三章二節3まで読む。 大戦中戒厳下に置かれたハワイが50年代から60年代にかけてアジアへの玄関口として重要な位置を占めるようになった経緯。沖縄ディアスポラ間の相互扶助ネットワークの形成。そもそも沖縄からの海外集団移民はどのように始まったのか。戦後ハワイにおける「沖縄救済運動」が帯びていた両義的な側面。 盛りだくさんだ。まずは通読優先。いずれゆっくり消化したい...
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月21日まだ読んでる就寝前読書第三章はじめにを読む。 この章は「帝国を架橋する」と題されている。〈占領下沖縄とハワイ、さらにその他の地域を多面的・多層的に結びつけていた「トランスパシフィックな『援助・救済』の回路」を分析する〉(148頁)ために援用されるのが、「軍事化された潮流」という概念(セツ・シゲマツ&マース・カマチョ)。点と点をつなぐ「ネットワーク」ではなく、流動性そのものを表す「潮流」という用語が使われるのが面白い。そこに著者は「医療化」という視点も加え、一見矛盾した力学が手を取り合いながら同時進行したことを明らかにしようとする。なぜ「回路」という用語を援用するのかも興味深いところ。 他にも、沖縄とハワイの歴史的軌跡の類似、ハワイの沖縄系アメリカ人の両義的な役割など、冒頭からすごい情報量。この章もとても勉強になりそう...
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月21日まだ読んでるお風呂読書第二章読み終わる。この章も本当に勉強になった...。以下のような〈マスターナラティブ〉に回収されない彼女たちの経験が注意深く検討されていた。 〈沖縄の公看を「良妻賢母」という耳慣れたナラティブで表現することで、国家主義的・家父長主義的言説に組み入れる一方、米軍統治下に置かれた沖縄の地政学的な特殊性は消去されている。[...]「アメリカ」の存在を覆い隠すことで、例外状況での沖縄の公看の経験は、「戦後日本の成功物語とそれを支えた女たち」というこのシリーズが再生産してきた「戦後日本」のマスターナラティブに回収されてしまった。〉(133頁)
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月20日まだ読んでる就寝前読書第二章五節まで。 三節の公看の「専門化」と冷戦文化政治、特に制服や自転車が日常の場で果たした役割が面白かった。 五節のキャンプタウンにおける性病管理の話は、心が重くなるけれど、とても大事なことが書かれていた。ジェンダー化/人種化された境界が人びとの間にどう引かれ、公看という存在がその生政治にどう関わっていたのか(歴史的構造において関わらざるをえなかったのか)。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月19日まだ読んでるお風呂読書第二章二節まで。占領を「ケア」する、という章題もすごい。 〈本章では[...]よりよい生活を求め続ける人びとの行動がどのように軍事主義と拭がたく結びついていたのか、公看[=公衆衛生看護婦]の経験を通して考察する。〉(87頁) 〈彼女たちは、米軍当局に要請された、いわばアメリカ軍事帝国の産物であると同時にや「軍事化された福祉」の一番の目撃者でもあった。〉(88頁)
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月18日まだ読んでるお風呂読書第一章一節まで。キリスト教信仰や「救済」神話が、米国の冷戦政策においてどのような役割を果たしたのか。 〈本稿では、キリスト教の救済神話が、どのように沖縄の米軍統治を正当化するものとして援用されていたのか、米国の公的言説において、一度は「神に見捨てられた島」と表現されたこの場所が、いかにして「救済の価値のある場所」とされるようになったのか分析する。主な分析対象は、キリスト教系の定期刊行物及びミッショナリー・フィクションである。〉(45-46頁)
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年5月17日読み始めたお風呂読書序章三節まで読んだ時点で今年のベスト候補入りを確信。まさに今、読みたかった研究... 〈本書は、米国統治下沖縄[...]において、人びとの生存を守り、心身をケアすることに関わる制度や言説、実践が、いかに沖縄を「反共の砦」として軍事要塞化しようとしていた米国の軍事拡張主義・冷戦政策と複雑かつ密接に結びついていったのかを明らかにする。〉(12頁) 〈より根本的には、福祉に関わる実践はそれ自体、その性質上、フーコーが言うところの近代的主体の構築と、高い親和性を持つことに注意しなくてはならない。[...]生命をケアし、よりよい生を求める行為は、ほとんど必然的に、最も親密な次元で、近代化と統治権力への抗しがたい欲求を招き、それを促進させるのである。〉(28頁)