
monami
@kiroku_library
2025年5月28日

カフネ
阿部暁子
読み終わった
人は全然、全く完璧ではない。いついかなる時もありたいように在れるわけではない。
今日、だいぶ遅れた友人達への誕生日プレゼントを、2つ郵送した。その手紙のひとつに、私は図々しくも「人生山あれば谷あり」なんて書いた。
あなたとの関係を断ちたかった訳ではない、ただわたしは思うように時を進められなかっただけなのだ。人生も読書のように、開いたり閉じたりしながら自分のペースで進めることが出来たら良いのに、残酷にも時はあっという間に流れ去る。
いろんなものを取りこぼしてきた。
私は沢山の愛情を受けて生きてきた。それなのに私はそれをきちんと返すことが出来ない。与えることが出来ない。それどころか適切に愛情を受け止めることが出来ていたかすら怪しい。
自分がひどく冷たい人間に思える。不完全で、不活発で、孤独。
だからこの登場人物達が眩しかった。
いつも自分、自分と、悲観的に誰かになすりつけるように生きるのではなく。
与え、関わり、そうして自らを救うことができる人たち。
郵便物を出し終える帰り、拠り所にしている神社でおみくじを引いた。小さなことでも怠らず取り組まなければ、いずれ身動きが取れなくなる。と言うようなことが書かれていた。
そうだ。私はずっと手をつけずにいた実家の自分の部屋を整頓し、シンクに溜まっていた食器を洗った。
自宅に戻ってからも洗濯をしてごみを出し、一通り部屋を整えた。
出来ることはやった。美味しいものも食べた。
やることを済ませて、やっと私たちは身動きが取れるようになるのだ。
掃除、食事。まずはそこからなのだ。









