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2025年5月28日

楢山節考
深沢七郎
最高の書き出し
ここに収録されている『東京のプリンスたち』の冒頭は、わたしの読書史上で最高にかっこいい書き出しのひとつである。
「たばこの煙りが靄のように籠っているから鳴っているジャズの音も外へ逃げないような気がして、(やっぱり、この店はいいナ)と思いながら洋介はいつもの隅の場所に腰かけていた。」
ここでジャズが流れているのはジャズ喫茶ではないし、時代も違うのだけれど、同じように青春を描いているような気がして、中上健次の『路上のジャズ』を読みながら、この小説とその書き出しを思っていたのだ。これも心のアンソロジーに編み込みたい傑作である。部屋で見つからなかったから、買い直して、すぐに路上で読んだ。




