蛸足配線
@nekoai30
2025年5月28日

うるさいこの音の全部
高瀬隼子
読み終わった
@ 自宅
ナミカワさんのように、(元)同僚をあっさり「友だち」と呼べる人を羨ましくも疎ましくも思う。朝陽に向けた感情に穏やかでないものが混じっているとわかるからこそ、なおさら。アルバイトから社員に昇格し作家としても活動する朝陽に、その間ずっと一バイトの立場だった(そして何か目指すものがあるのであろう)ナミカワさんが何も思わない筈はないのに、その辺りの機微に朝陽はあまりにも無頓着だ。「いい人」のナミカワさんに対し「教室の隅で本を読んでるタイプ」の朝陽が根本的に抱く劣等感が目を曇らせるのだろうか。そんな朝陽が、一見デリカシーに欠けるようで芯の通った真っ当さを備えた帆奈美にストレスを感じながらも会い続けることには得心が行く。コンプレックスを刺激されない上に「早見有日」ではない「長井朝陽」として接して貰えるのが楽なのだろう。実のところ帆奈美もただの無遠慮な人間という訳ではなく、気遣いをそれと悟られないよう配慮しているようにも見えるが。



