うるさいこの音の全部

20件の記録
- 蛸足配線@nekoai302025年5月28日読み終わった@ 自宅ナミカワさんのように、(元)同僚をあっさり「友だち」と呼べる人を羨ましくも疎ましくも思う。朝陽に向けた感情に穏やかでないものが混じっているとわかるからこそ、なおさら。アルバイトから社員に昇格し作家としても活動する朝陽に、その間ずっと一バイトの立場だった(そして何か目指すものがあるのであろう)ナミカワさんが何も思わない筈はないのに、その辺りの機微に朝陽はあまりにも無頓着だ。「いい人」のナミカワさんに対し「教室の隅で本を読んでるタイプ」の朝陽が根本的に抱く劣等感が目を曇らせるのだろうか。そんな朝陽が、一見デリカシーに欠けるようで芯の通った真っ当さを備えた帆奈美にストレスを感じながらも会い続けることには得心が行く。コンプレックスを刺激されない上に「早見有日」ではない「長井朝陽」として接して貰えるのが楽なのだろう。実のところ帆奈美もただの無遠慮な人間という訳ではなく、気遣いをそれと悟られないよう配慮しているようにも見えるが。
- ちさ@chisa_nemui2025年3月19日読み終わった大好きな高瀬隼子さん。なんと巧みな心理描写であろうか……! 反射的に起こる感情があって、そのあとでそれを俯瞰的に見つめる自分が現れて、起こってしまった反射に対して自己嫌悪を抱いて……と、主観と客観を行ったり来たりしながら自分の感情を自覚していく描写が私に刺さりまくり。私も相手や環境によって仮面を使い分けている自覚があるから、その感覚を言語化してくれるのが本当に嬉しいなと思いながら高瀬さんの作品を読んでいる。 でも今作はとても苦しかった。主人公の感情が揺れ動くたびに、私自身の感情も素手でぐちゃぐちゃにかき回される感覚だった。反射に抗わずただ身を任せるばかりでいたらこうなるかもね、というひとつの帰結としてとても納得感があったからかな。 「助けて」って素直に言えたらどんなに良いだろう、と思う。外界と内面の境目をしっかり持てていたら。我ながら苦しい生き方をしているな、という自覚はあるのだけど。難しいな。
- Ayu@honeeey_ayu2024年5月29日借りてきたかつて読んだ@ 図書館小説というフィクションの中で描かれる更なるフィクションの境目がいつの間にか分からなくてなっていくのが純粋にどこに着地するのか気になり、2篇264ページと短いのもありすらすら一気に読んでしまった、この言い表せないぬるっとなんとも怖いこの感じ
- はぐらうり@hagurauri-books2024年4月17日読み終わった創作ではあるものの小説家のジレンマが描かれていてとても面白かった!作中作があるし、私小説風でもあるし、僕の好きな「分人」の話でもあると思ったので、要素が盛りだくさんだった。読者として少し気まずさも感じるが、心地よい感じもあった。