
ちょこれーと*
@5_ogd
2025年5月29日

ガラスの海を渡る舟
寺地はるな
読んでる
『羽衣子にとっての『特別』とか『ふつう』は、ただひとりの特別な人間と、同じようなその他大勢の人ってことなんかもしれん。けどぼくにとってはひとりひとりが違う状態が『ふつう』なんや。羽衣子はこの世にひとりしかおらんのやから、どこにでもおるわけがない』
日々日常の中で喧騒に埋もれてだんだんと薄れていってしまう『自分』という存在。
たくさんの情報や人の意見に簡単に触れられる社会になり、『自分』というものが埋もれていく感覚。きっと現代に生きる人なら誰もが一度は感じたことがあるのではと思う。
そんな世の中だけど、『自分』は誰かになることはできなくて唯一無二の存在。
当たり前だけど忘れてしまいがちなことを思い出させてくれる言葉だと思った。
『記憶にはかたちがないから、壊れることもない。でも、薄れる。遠ざかる。だからとどめておくために物に託す。それを目にしたら、いつでも思い出せるように。』
とても素敵な言葉だと思った。
普段は記憶の底に沈んでいるような出来事もその物が記憶の扉を開く鍵の役割をしている、そんなイメージが湧いた。
物に託す。記憶は薄れてしまっても、物なら残しておける。