読谷 文 "「働けない」をとことん考えて..." 2025年5月30日

読谷 文
読谷 文
@fumi_yomitani
2025年5月30日
「働けない」をとことん考えてみた。
すごくよかった。タイトル通り「働けない」側の視点から見た現在の日本の労働問題の歪さを真摯に問うている本だった。 氷河期世代で、働いたり働けなかったりした経験を持つ者として、大いに頷きながら読んだ。 現在三刷とのことで、共感する人がたくさんいるのだろうと思う。 ・「週5日フルタイムで出勤・残業を厭わない」働き方が当然のように基準とされ、 それに基づいて法律・税制・年金制度がつくられており、その働き方の基準から少しでも外れると、あっという間に「いない存在」とみなされる。 ・「多様性」や「女性活躍」という言葉が意図するのはあくまで「企業内で役立つ人材」においてであって、その他の生活の場面でのマイノリティを指している訳ではない。 ・この社会では「賃労働」のみが「働く」ことを意味していて、生きていくのに必須な労働である「育児」や「介護」は「休暇」とみなされる。 などなど、ここに全ては書ききれないくらい、今までモヤモヤしていた事象に対して「おかしくない?」とひとつひとつ問うてゆく著者の姿勢に、胸打たれ共感の嵐だった。 また本文中で紹介されていた、テネシー・ウィリアムズの「ガラスの動物園」や、シモーヌ・ヴェイユ、森茉莉、深沢七郎、星新一など、読んでみたいと思う作品がたくさんあったし、著者の別の作品も是非読みたいと思った。
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