

読谷 文
@fumi_yomitani
海外文学とノンフィクションを読むのが好きです。
長めの感想はブログに載せています。
ブログ「読谷文の本棚」
- 2025年5月24日失われたスクラップブックエヴァン・ダーラ,木原善彦読み終わった第11回日本翻訳大賞 受賞作。 読了した方々の感想の熱量がとにかくすごくて、いわく、400ページ位まで頑張って読めば、仕掛けが明らかになりめくるめく読書体験が待っていると。 そんな読書体験を私もしてみたい!と読み始め、途中でその仕掛けのネタバレをうっかり見てしまい地団駄を踏むが、気を取り直して読み続けると、果たして…… とりとめのない話が延々続く。この「とりとめのなさ」を抱えながら読み続けられるかどうかが肝だと思う。電波の受信がどうとか、特殊相対性理論がどうだとか、よくわからない所はバンバン読み飛ばす、でないと先に進めないから。決して一言一句理解しようとしてはいけない。(著者/訳者には申し訳ないけれど) これらの話たちを短編集みたいで好きだと言う人もいれば、興が乗ってきたところでサッと違う話になって不完全燃焼を感じる、と言う人もおり、自分は後者だった。いやこの量でこの内容で、絶対みんな読むのに苦労してるよねと思う。 そしてついに核心のラスト150ページからの畳み掛けてくる展開もすごいが、実質最後の7ページを書きたい(読ませたい)がために、あんなに長大な前半を著者は書いてきたのかと思うと、気が遠くなった。「めくるめく読書体験」確かに看板に偽りなしだった。
- 2025年5月24日
- 2025年5月24日両膝を怪我したわたしの聖女アンドレア・アブレウ,五十嵐絢音,村岡直子読み終わった裏表紙の帯に引用されている句読点のない文章を読んで、こここ、これが決壊する文体……ついていけるかしらんと一抹の不安を覚えるも、それはほんの一部で、全部が決壊している訳ではなく、むしろ一気読みだった。 自由なお金も移動手段も持たない子ども特有の、閉塞感あふれる田舎の長い夏休み。海が行き止まりとなる火山島で、別荘地には余所者が来ていて、でも住んでいるのは山の上の集落だから海には行けなくて水路でビーチごっこをする、臆病なわたしと物怖じしない親友のイソラ。 子どもらしく人形遊びやごっこ遊びをする反面、性への過剰な探究&没頭といった尾籠な話も多い。貧困と暴力が風景のようにそこにあって、互いに抱えている悲しみは時に強がりとなって流れ出す。さめほしさんの表紙の女の子がすごく物哀しい泣き顔に見えて、頭の中でずっと主人公のわたしに重なっていた。 訳者あとがきによると、著者は「女の子同士の友情と聞くと抱きがちな、天使のようなイメージを打ち壊す話を書きたい」と思っていたそうで、本作で見事に真逆に振り切っている様はむしろ清々しいほど。 また、本作が小説デビュー作となる著者を見いだした同郷の作家、サビーナ・ウラカと著者との間のストーリーが運命的で、本作誕生秘話として胸に迫るものがあった。 スペイン語圏には本当にぶっ飛んだ小説が多い!と改めて驚かされた。 雨の予感を感じさせるしっとりとした手触りが印象的なカバーに、スピンと花布が可憐なピンクで、そこだけはいかにも可愛らしい10歳の少女だった。
- 2025年5月21日つくって食べる日々の話ほか,スズキ・ナオ,ツレヅレ・ハナコ,円城塔,大平一枝,平松洋子,春日武彦,滝口悠生,牧野伊三夫,白央篤司,著者複数,辻本力,阿古真理ネタバレ読み終わった各界の方々の「つくって食べる日々」=自炊について書かれたエッセイ集。 料理や食べることが大好きで一日中食事のことを考えている人、自炊は好きじゃないし面倒だから週2位でいいかなという人から、はたまた食に全く興味がないという人まで、自炊における様々なグラデーションがそこにあって、ホッとする。 自分も家族に出すための料理をするけれど、100パーセント料理が大好き!楽しい!とは思えない。どちらかというと義務を伴う労働だと思っているのが正直なところだ。 自分一人だけのためだったら、気楽に好きなものだけ作れるけれど、作る張り合いみたいなものも半減する気がする。が、そのくらいのテンションの方が丁度良いのかもしれない。 最も心を掴まれたのは、やはり大トリの「乾きかけのトゲ/平松洋子」だ。 「自分で料理をする生活がしたいから」と、高齢ながらひとり暮らしを選択する著者の母。その暮らしに徐々に変化が見え、ついには終焉を迎えることとなる。その刻々とした描写に、人が生きること、そしてその生が終わることの凄みを感じた。
- 2025年4月28日失われたスクラップブックエヴァン・ダーラ,木原善彦読み始めた第11回日本翻訳大賞受賞おめでとうございます!拍手〜〜 (*´∀`ノノ"☆パチパチ☆゚・:*。+.♪ ということで、まとまった時間の取れる時に……と楽しみに積んでいたこちらを、勢いに乗って読み始めることにしました。 2段組本文約550ページの鈍器、どれだけ手強いのか……?とおののきつつも、今のところ、ふむふむという感じで、いい感じに読めております。
- 2025年4月27日YABUNONAKA-ヤブノナカー金原ひとみ読み終わった“性加害の告発”が題材だというだけで、ああキツい、これはパス、と普段ならなるところだが、金原ひとみの最新作にして最長編となれば話は別だ。彼女の怒涛の毒舌を千枚分も浴びられるのかと思ったら、手に取らずにはいられなかった。 果たして読了した結果、それはもう存分に、これまでにないほど毒気にやられ、見事に蜂の巣状態になって放心してしまった。 題材からしてエロもグロもまああって、良きにつけ悪しきにつけ、とにかく生気を吸い取られる作品なので、元気な時に覚悟を決めて読むことをおすすめする。帰還者からの伝言だ。 詳細な感想はnoteに書きました。 よろしければ。 https://note.com/fumi_yomitani/n/n77466e4b4a2e
- 2025年4月26日ひのえうま吉川徹気になるTwitterで知った来年2026年の干支は60年振りの“ひのえうま”ということで、子どもをもうけようと考えているカップルにとっては、超絶ジャストナウなトピックであろうが、果たして当事者の若い世代の意識がどうなのか、よって来年の出生数がどうなるのか、大変気になる。
- 2025年4月19日FREEレア・イピ,山田文読み終わった社会主義下のアルバニアに育った政治学者の自伝。激動の時代を生きた11〜17歳までの少女の視点から描く。家族の出自がなかなかに複雑で引き裂かれるものがある。 時代の波に翻弄されながらも逞しく生き抜いてきた祖母のニニが、最も魅力的に映った。 友人を失い無気力になり、道ならぬ恋に泣いている著者に「泣くんじゃありません」と諭す言葉が胸を打った。 「何かをするの。新しい本を読みなさい。新しいことばを学びなさい。やることを見つけるの」P268 この祖母について語った次作が2025年原書刊行予定とのこと。今から翻訳が楽しみだなあヽ(*゚∀゚*)ノ 造本も、東欧らしいクラシカルな色味の小花柄と赤い見返し&スピンがマッチしていて可愛らしかった。
- 2025年4月15日断捨離血風録日下三蔵気になるTwitterで知った読みたい副題「3年で蔵書2万5千冊を減らす方法」 概要「40年間貯めに貯めた本を大放出する涙と笑いの蔵書処分ルポ!!目標は和室を空けること。盛林堂書房の小野氏、古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山氏という強力な助っ人を得て、本で埋め尽くされた家の片付けが始まった──。」 めちゃ気になる〜、面白そう! ワクo(゚ー゚*o)(o*゚ー゚)oワク
- 2025年4月15日父が牛飼いになった理由河崎秋子読み終わったこちらは川﨑秋子さんのお父さまから辿るファミリーヒストリー。川﨑さんが作家となるまでを書いた「私の最後の羊が死んだ」の前日譚として、とっても興味深く読んだ。 表紙の、阿部海太さんの仔牛の絵が可愛くてすごく好き。
- 2025年4月15日私の最後の羊が死んだ河崎秋子読み終わった直木賞作家の川﨑秋子さんが、いかにして羊飼いとなり、のちに専業作家となったのか、その道のりが書かれた、著者初のノンフィクション。 羊に対する情熱と、その羊を諦めなければならない辛さが、ひしひしと伝わってきた。 想像を超える過酷な日々に、心から血を流しながら読んだ。すごい本だった。
- 2025年4月11日介護と相続、これでもめる!姉小路祐Twitterで知った読みたい東畑開人さんがTwitterでおすすめされていたのを見て、俄然興味を持つ。 「現代版リア王のような金と愛をめぐる人間関係の悲しさが全編に溢れていた。」だなんて、こりゃもう読むしかないじゃないですか。 https://x.com/ktowhata/status/1910497910569254968?s=46
- 2025年3月20日
- 2025年3月19日
- 2025年3月19日
- 2025年3月18日きみはメタルギアソリッド5:ファントムペインをプレイするジャミル・ジャン・コチャイ,矢倉喬士読み終わったアフガニスタン系米国人の作者による短編集。 イーユン・リーのお弟子さんによる移民文学とくれば、読まずにはいられない! 川名潤さんの装丁・造本もとてもクールでカッコいい。 ブログに感想を書きました👇 https://fumi-yomitani.hatenablog.com/entry/kimimeta
- 2025年3月17日
- 2025年3月17日吹きさらう風セルバ・アルマダ,宇野和美かつて読んだ灼熱の荒野で偶然出会った、牧師と自動車整備工、その娘と息子である(らしい)少女と少年の4人。やがて迫り来る嵐と共に、大きく吹き荒れたかと思うと、一瞬にして変わってゆくそれぞれの運命。 たった一昼夜足らずの時間の流れの中に、各々の濃密な人生が描かれていて、読後の余韻が一向に冷めない。読者は訳も分からないまま、大きな嵐に巻き込まれ、もみくちゃにされた挙句に放り出される。そんな作品だった。 大好きな『赤い魚の夫婦』(グアダルーペ・ネッテル)の訳者さんということで、本書を目に留め読んだが、間違いなかった。これからもたくさんの良書をご紹介して頂けるよう期待しております。
- 2025年3月16日世界文学大図鑑ジェイムズ・キャントン,ジェイムズ・キャントンほか,沼野充義,越前敏弥Twitterで知った欲しいこれは電子版でなく、ぜひ紙の本で欲しい。 目次を見ているだけで楽しかったので、どのページを開いてもきっと面白いだろうな。
- 2025年3月14日
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