
益田
@msd
2025年5月30日

民族とネイション
塩川伸明
読んでる
「「民族」は第三者的・学者的には人為的構築物と捉えられる一方、当事者にはむしろ原初的・本質的なものとして受けとめられがちだが、それはいま述べたような事情に基づくものと考えられる。実際、民族感情は外から見ると「つくられたもの」と捉えられるにしても、内からは「自然なもの」と受けとめられてこそ意味をもつ。そのことと関係して、あれこれの国のナショナリズムが対抗しているとき、相手方のナショナリズムは「政府やマスメディアによって人為的にあおられたものだ」と見えるが、自分の方のナショナリズムは「自然」に見えるということがよくある。最近の日本と中国・韓国のあいだでの歴史論争において、相手側の論調については「政治的に利用されたものだ」「上から動員されたものだ」と批判する一方、自国側については「自然な感情」とみなすといった傾向が見受けられるのも、こうした事情によって説明されるだろう。」(p35)

