
もぐもぐ羊
@sleep_sheep
2025年5月30日

ベル・ジャー
シルヴィア・プラス,
小澤身和子
読み終わった
11から最後まで読んだ。
ちょうど半分以降は心のバランスを崩したエスターが精神科を受診したり、ショック療法を受けたりしていくうちにどんどん悪い方向に突き進み、自殺を試みて未遂に終わり、そのまま精神病院に入院してしまった。
転院して良い医療を受けられているようだったけど、快方には至らず。
そんな中で地元の友人ジョアンが同じ病院に入院してきて、いろいろあって自殺してしまった。
彼女とエスターはバディ・ウィラードと付き合っていたが、バディがエスターと付き合いはじめたことでジョアンと別れた。
ジョアンの死後、精神病院を訪ねてきたバディはジョアンの死は自分のせいなのかエスターに尋ねていて、自惚れもいい加減にしろ!と思った。
バディは大して魅力的ではないし、エスターは彼が結核になってしまったので別れを切り出せなかっただけでとっくに見切りはつけていたのに。
そしてバディはエスターに「精神病院に入院歴のあるきみはどんな人と結婚するのだろうね?」というデリカシーの欠片もないことを言う。
少なくともバディとは結婚しないだろうね。
何度か出てくるイチジクの話が印象的だった。
この小説は1963年に出版されその直後に著者のシルビア・プラスは自ら命を絶った。
物語は1950年代で女性の地位も権利も低い時代だった。
その中で少ないチャンスにしがみつきながら必死にがんばっていた自身をエスターに投影し書き上げた自伝的小説なので物語に凄みを感じた。
この小説は今まで3回翻訳されていて、小澤身和子訳の晶文社版が最新である。
今から80年近く前の小説を読めるのは、新訳が出てくれているからだろう。
また夢中になって読ませてくれたのも新訳だからだと思う。






