
祥
@kino_s5
2025年5月31日

スワン
呉勝浩
読み終わった
「爆弾」を読んでから、この作品を手に取りましたが、こちらも色々と考えさせられる作品でした。
理不尽な悲劇が降りかかった時、それに対する行動としての「正解」は誰にもわからないし、そもそも「正解」なんてものは存在しないのかもしれない。それでも運良く当事者にならずに済んだ「観客」は、「こうできたのではないか」「あの時の行動は間違っていたんじゃないか」と舞台の外側で「正解」を、「正義」を振り翳して当事者たる「登場人物」を好き勝手に責め立てる。どこまでも残酷で、でもそれが哀しいかな世界というもので。それをわかって、「真実」を湖の底に沈めて「わかりやすいシナリオ」を演じる事を選んだ彼女は強いなと思いました。
何が起こったのか紐解かれる中で、生き残った当事者達の行動や何故嘘をついていたのか、何に怯えていたのかも納得できる。
でも自分の保身の為に、彼女を悪者にした同級生もその同級生と親しい先生も、ちょっと読んでて許せなかった。
