
読書記録
@records
2025年5月31日

ヒカリ文集
松浦理英子
読んでる
まだ読んでる
「鷹野 裕」「飛方雪実」の章(というか手記)を読んだ。
明るくて人から好かれ、もてなし上手であるヒカリの陰のある一面がいくつかのエピソードとして出てくる。
・親との関係がよくなかったらしいこと
・好きな戯曲はテネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』
・ヒカリが自分で考えてやる即興劇は陰性なものが多かった
この小説を初めて読んだ時は、あまり丁寧な読み方をせずに1日か2日で読み切ってしまって、雪実の章が一番好きだな、というのが印象として残っていたんだけど、
今回改めて雪実の章を読んでみて好ましいと思ったのは、率直に心情を吐露しているような文章。
「どちらかと言えば傷があってほしい。傷のある人の方が傷のない人よりも他人を必要としていて濃密な関係が結べるから──と、まだ人間を大して知らなかった二十歳の私は単純に考えていた。」p.130
「ヒカリが『わたし、NTR辞めた方がいいのかな?』と呟いた時『そんな必要ないよ』と即答したのは、ヒカリと会えなくなるのがつらいというような気持ちからではなく、恰好をつけたのだった。自分をフェアで強い人間と見せかけたかった。」p.137
あと、雪実とヒカリが一緒に献血に行くエピソードで、「稀血(まれけつ)だったらいいな」と呟くヒカリの描写がかわいい。
