ズズキ "ライ麦畑でつかまえて" 2025年6月1日

ズズキ
ズズキ
@zukkiziburi
2025年6月1日
ライ麦畑でつかまえて
ライ麦畑でつかまえて
ジェローム・デーヴィド・サリンジャー,
野崎孝
白水社110周年記念フェアの店頭に『ライ麦畑でつかまえて』も並ばれていたので購入。  元々バナナフィッシュから知り、ずっと何となく気になっていた作品。 口語体で最初は読みにくく、また主人公が何に対しても不平不満ばかりでキレやすく、けど弱気で行動に移すことを躊躇する性格ときたので、途中読むのを止めようかと何度も思った。 大人は彼にとって汚く下劣で仕様がないもので、それが言葉や行動の端々で感じられると、彼の心中は嫌悪感でいっぱいになる。 一部そうではない人たち、2人組の尼さん等、主に女性性の包み込む優しさには心を許している節がある。それは無邪気な子供を守る母性的なものを感じているからだと思う。 彼は子供たちが無邪気に遊ぶことを見守りたい、ライ麦畑の崖で子供が落ちそうになるのをつかまえたい、そんなことをしたいんだと妹に言う。 現に回転木馬に乗っている妹を見て、彼は多幸感を得ていた。   彼はタバコを吸い嘘をつく青年期真っ只中にあるが、完全な大人ではなく、子供から大人になる過程に身を置かれている状態が心底嫌なのだと思う。できるだけ世間からの距離を取りたいという気持ちはあっても、そこから完全に離れたいとは思えない。 この気持ちは本当にわかる。 現に私が全く同じだから。 変に勝気に話をしてくる大人も好きではないし、ああいう話し方をしたくないものだとも思う。 ここまではキレはしないけど、誰しもが少し共感できる部分がこの本にはあると思う。 記憶を消してもう一度読み直したいと思う作品ではないけど、少し忘れた頃にぱらぱらと読み直すのに丁度良い作品。
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