"PRIZE-プライズー" 2025年6月3日

雫
@sukinamono
2025年6月3日
PRIZE-プライズー
怖かったよ〜。途中嫌な予感がして続きを読むのが怖すぎて、でも気になりすぎて突き進んでしまったよ。 この怖さはなんていうんだろう。わたしが書店員だから怖いのか、本を読むことを愛しているから怖いのか。 「天羽カイン」という小説家を中心に物語は進む。この小説家、あのかの有名な直木賞が欲しくてたまらず、周りの編集者や審査員の大作家たちを巻き込んで大暴れする。 これだけ聞くと「賞が欲しいんなんて浅ましい」って感じてしまうけど物語を読んでいるとカインが自分の小説をそれこそ子供のように大切にしているからこその言動だとわかる。まぁ途中、自分のアホな夫をギャフンと言わせてやりたいから獲りたいんじゃないのか?と思ってしまうけれど。この夫がまぁムカつく奴なんです。わたしもコイツを黙らせたくてもう直木賞獲ってくれ!って願ってたもん。 そして編集者の千紘ちゃん。カインが異常なほど信頼して、その信頼に千紘も答えていくんだけどもう、もう、勘弁してください〜!って叫びたくなるほど編集者としていきすぎた行動をしていて。 それがいい作品をカインと作るため、という気持ちが原動力になっているのが余計…。いい作品ってなんだろう。作者が紡いだ物語全てが正解なんだろうか。わたしが今追いかけている一文、いや、一文字一文字に相当な想いがこもっていることに気づいてなんだかこの物語の重さが増したよう。 一時期は出版社への就職を目指して就活をしていたわたしだけどあの時落としてくれた出版社よ!ありがとう!とお礼を言いたい気持ち。わたしには到底背負いきれない。作家から出た一文を一文字も削れやしない。 より一層、書店員として、全ての本を大切に誰かに届くように売りたいと思いました。
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