
ハム
@unia
2025年6月4日

母親になって後悔してる
オルナ・ドーナト,
鹿田昌美
読み終わった
これは思考、感情をめちゃくちゃ揺さぶる一冊。
タブー視されがちなテーマとされるが、これらをタブー視する社会が歪なのであって、母親というアイデンティティの多様性を消し去っている社会を当たり前とする流れを変える試みとして「後悔」に向き合う。
母親になることの後悔を研究することでそこにある暗闇や違和感や焦りを捉え、「直線の道がある」という仮定を疑問視して、他の可能性を想像する余地が生まれる。
印象的だったのは、後悔というのが、法廷では責任や正気、道徳的立場を表すのに、母性では責任放棄、不道徳、正気を失っていると捉えられるということ。
そして、ここには母親は主体ではなく、役割であり、客体としての存在であるとする社会認識がある。
視点として見落としていたのは、豊かな経済的状況や周囲の支援があっても母親としての適性を感じられず条件が良くても母親になったことを後悔する人もいるということ。
考えれば当然だけど自分もどこか社会的条件だけで語られるものとして個人の選択にきちんと目を向けていなかった部分があることに気づきました。
個々の幸せを考えるに、母親になることが誰にとってもそのままイコールで幸せになるわけではないことは誰しも気づいているとは思う。
でも口に出せない雰囲気を作り出している社会が確かにあって、それはやはり歪だし、健全とは言えないのだと思う。



