"初子さん" 2025年6月4日

ア
@zeight_6
2025年6月4日
初子さん
初子さん
赤染晶子
あ、読ませたい、とお友だちの顔が浮かぶ本は紛れもなくよい本なのだけれど、この本もあの子にプレゼントしたいと思った。 「初子さん」の切実で苦しくてわたしたちである話、あの子に読ませたい。でも「うつつ・うつら」の、鶴子やうつつと一緒に自分も沈んでいきそうな感じ、彼女読んだら苦しすぎるかなと思ったり、最後の超短編の咲嬉子とだったらなんとか幸せとまではいかなくとも清涼感を持って終えられるかなとか思ったり。出てくるひとたち、突飛なところもあるはずなのに実在するようにしか思えない。そしていくつかの、いくつもの機微がわたしたちと重なっている。愛しいと言いたいけれど、本当は生活って全然簡単に愛することはできない。生き延びようとすると必死で、無様で、苦いことの方が多い。だからってやめないし、なんでかやめられないし。そういう泥臭さをすごく軽やかに、なんでもないかのように、リズミカルに描いている(書いていて思い返してみると、そういうところ少々向田邦子氏のよう?そんなに向田氏たくさん読んでいないけど…)。そのテンポに乗ってわたしも駆け足で読んでしまったけれど、とても大切だからまた読み返したい。今読めてよかった。
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