初子さん

99件の記録
- yo_yohei@yo_yohei2025年9月16日読み終わった@ シンガポール最後の短編、「まっ茶小路旅行店」読了。 ユーモアと緊張感が同居している物語だった。そして、時空が歪む。汲み取り式トイレと携帯電話。戦争。蜃気楼。 この人の作品をもっと読みたいなあ。
- yo_yohei@yo_yohei2025年9月15日読んでる@ シンガポール「うつつ・うつら」読了 この著者はなぜ舞台に立つ人の辛さがこんなにわかるのか。「小説家ってそういうものだよ」と言われればそれまでだけど、すごい。 しかし、この物語はそれだけではない。じゃあ、どういう物語なのか、と言うと、どういう物語だったのか上手く説明できない。それもすごい。
- yo_yohei@yo_yohei2025年9月11日読んでる@ シンガポールこの短編集に収録されている「初子さん」を読んだ。 これは自分のことを書いたんじゃないかと思うくらい、初子さんが考えることがよくわかる。浴びせられる無自覚な加害や悪意なき無理解も含めて。 ボクはこの著者の、物語が始まった途端、フルスロットルでぶっ飛んでいく鋭い文体が好き。そして、この著者の世界の見方、切り取り方が好きだ。 この人の新作がもう読めないと思うとかなしい。
- いな@hozumiina2025年9月8日読みたい買った読み終わった「うつつ・うつら」ズブズブと沼に引き込まれるように読むことを止められなかった。独特のリズムが気持ち悪くて面白い。三作とも閉塞感に押しつぶされる最後に少し光がある。わたしの暮らしにもそんな光があるといい。
- 幸緒@kons_03202025年9月6日読み終わった「初子さん」「うつつ・うつら」「まっ茶小路旅行店」収録。「初子さん」も凄かったが「うつつ・うつら」は読みながら加速度的に恐ろしくなっていった。一文の射程?が短く、ゆえに小刻みに畳み掛けてきて、息をつめて作品世界の苦しみを味わった
- r@teihakutou2025年8月6日読み終わった軽快に読ませるなかに「ほんとうのこと」をひょいっと出してくる、この虚を突かれる感じがくせになる。深刻に重々しく考え込まなくたって、ひとは軽さでもって真理に到達しうるし、そっちのやり方のほうがかっこいいなと思ってしまう。 「うつつ・うつら」は栞を挟まないでいたらどこまで読んだかわからなくなる感じで、途中、長いな…と思ったけど、扱っているテーマは深い。だらだら読んでもったいなかった。
- Yamada Keisuke@afro1082025年7月16日読み終わったエッセイ集『じゃむパンの日』がオモシロかったので読んだ。本業である小説のフィールドでも、その唯一無二の感性は健在というより、さらに強烈に発揮されていた。この二冊からして書き手としての才能は明らかで、もう亡くなってしまっていることが悲しくなる。palmbooksが復刊を手がけるのも読めばわかる小説だった。 タイトル作を含め中篇が二つ、短編が一つで構成されている。いずれも三人称で描かれている女性が主人公の物語だが、それぞれの時代も立場もまるで違っていて、三つの異なる世界が広がっている。共通しているのは、どの物語でも「女性が働くこと」にフォーカスさかれている点だ。主人公が労働を通じて感じる違和感や停滞感について、豊富なメタファーを駆使して描いている点が本著の魅力と言えるだろう。 普段読む小説の中で、これだけメタファーが多用する作家はいないので新鮮だった。このメタファーの鮮やかさはラップのリリックに近いものがある。例えば、「初子さん」では、縫い目(主人公の仕事)→日々→呼吸(母の寝息)という繰り返しの動作を重ねていく様が鮮やかだった。「まっ茶小路旅行店」では、停滞した職場の空気を砂漠に例え、そこに生えているサボテンを自分自身、さらに自分に不似合いなカンザシをサボテンの花に例えるイメージの連鎖もうっとりする。 停滞している空気、なんの変化もない日常の繰り返しが耐え難く、労働を中心とした生活の中に意味をなんとか見出して、艱難辛苦を乗り越えていこうとする姿は胸にグッとくるものがあった。生きるために働くのか、働くために生きているのか、わからなくなることがたまにあるが、この小説の主人公たちのストラグルを見ていると、後者でありたいなと思う。 本著のなかでも異質なのが「うつつ・うつら」だ。お笑い、芸事を題材にした歪な小説で、この歪さをどう受け止めていいのか正直戸惑った。売れない女性のピン芸人が舞台に立ち続けるものの、階下にある映画の音がダダ漏れで、自分のネタが映画の音にかき消されていくという、なんともシュールな状況から始まる。そこへ漫才コンビ、九官鳥、赤ちゃんなど、どんどん要素が上乗せされながら「言葉と実存性」みたいな話に変容していく。具体的には、言葉を剥ぎ取られることの恐怖を通じて、己がなんのために存在しているのか、問われるのだ。自分の言葉が剥ぎ取られる感覚は生成AI全盛の現在、誰しもが経験したはずであり、今読むと響くものがある。ユニークでカオティックな世界観の中でも、そこにある普遍性は、時代を越えて響いてくる作品だった。
- r@teihakutou2025年7月9日買った読み始めた@ twililight トワイライライトずっと行きたかったトワイライライトに行けました✴︎ あんずとアーモンドのケーキとアイスコーヒーを頂きながら、買ったばかりの『初子さん』から「まっ茶小路旅行店」を読んだ。読みはじめてすぐ、大好きな『じゃむパンの日』の読み心地が思い出される感じがして嬉しくなった。テンポ感とかユーモアとか発想とか、すべてが心地よくて羨ましくなる文章。
- ゆらゆら@yuurayurari2025年6月24日読み終わった『ジャムパンの日』が最高だった赤染さんの小説集。表題作は、厳しく辛い日常を、それでもミシンがひと針ずつ進むように地道に暮らしてくしかない人々の日々を描き、特に母と母を見る初子さんの姿が心に残る。一方、美根子さんのようにしか生きられない人もいるなあと思う。 「うつら・うつつ」は、「乙女の密告」に通じるシュールな笑いの要素が散りばめられつつ、京都の劇場のぬるま湯、マドモアゼル鶴子の夢、小夜子のほっちっちー、パリ千代…と一読では何が何だかわからないけど、窒息しそうな日常を“言葉”を求めて抜け出そうともがくようで、凄いものを読んだ気がする。 「まっ茶小路旅行店」は、同じく日常からの脱出についての感覚を描いてる気がして、「うつら・うつつ」の変奏曲という印象を受けたけど、発表順を見たら、むしろ逆なのかも。でも、どの作品でも、赤染さんの描く京都の“日常”に住んでみたい気がする。 (25.5.10読了)
- 鳥澤光@hikari4132025年6月21日読み終わった読む本読んだ本2025@ 東京堂書店 神田神保町店《「夢だけ追っていてはだめよ」とはこっちが言ってやりたい言葉だった。こんな蒸し暑い夜に窓を開けただけの部屋で、体から湯気が出そうになりながら仕事をしている。これが現実以外の何であろうか。》「初子さん」P33 《パリ千代は嘴でうつつという言葉をぱちんと割る。パリ千代が再現すれば全ての音も言葉も今までの意味を失った。パリ千代が鳴けば、その音はもうその物や人から離れてしまった。(…)人の声もパリ千代が習得すれば、その人の存在を示さなくなった。劇場はそうやって壊れていった。がらくたになった。音や声が物や人からはなれてぬるま湯を浮遊した。パリ千代が鳴くたびに、音や言葉は今までのところからはがれていった。言葉が世界からはがれると、世界は混沌に戻る。言葉を失った世界は闇に還る。》「うつつ・うつら」P143-144 《人間の赤ん坊が言葉を覚えたら、世界はどうなる。金太郎はパリ千代とは違う。言葉を縫い付けている。世界を作っていく。》「うつつ・うつら」P161
- りなっこ@rinakko2025年6月9日読み終わった3作品中、表題作と「うつつ・うつら」は再読。笑って読んでいたのにいつの間にか怖いところ(落ちたら抜け出せない虚ろのような)を覗かされるのが、赤染作品だなぁ…とあらためてしみじみ。 そこにあるのかもわからない何かに届きたくて、やっぱり欲しい…と高いところに手を伸ばす。健気でひたむきなだけなのに、その姿は時に滑稽で時に哀しい。 そんな風にしか生きられない主人公たちは、頼もしくはないけれど逞しくて、人は簡単には絶望出来ないものだということを思い出させてくれる。希望という名の病がそうはさせてくれない、と。
- ア@zeight_62025年6月4日読み終わった届いてたあ、読ませたい、とお友だちの顔が浮かぶ本は紛れもなくよい本なのだけれど、この本もあの子にプレゼントしたいと思った。 「初子さん」の切実で苦しくてわたしたちである話、あの子に読ませたい。でも「うつつ・うつら」の、鶴子やうつつと一緒に自分も沈んでいきそうな感じ、彼女読んだら苦しすぎるかなと思ったり、最後の超短編の咲嬉子とだったらなんとか幸せとまではいかなくとも清涼感を持って終えられるかなとか思ったり。出てくるひとたち、突飛なところもあるはずなのに実在するようにしか思えない。そしていくつかの、いくつもの機微がわたしたちと重なっている。愛しいと言いたいけれど、本当は生活って全然簡単に愛することはできない。生き延びようとすると必死で、無様で、苦いことの方が多い。だからってやめないし、なんでかやめられないし。そういう泥臭さをすごく軽やかに、なんでもないかのように、リズミカルに描いている(書いていて思い返してみると、そういうところ少々向田邦子氏のよう?そんなに向田氏たくさん読んでいないけど…)。そのテンポに乗ってわたしも駆け足で読んでしまったけれど、とても大切だからまた読み返したい。今読めてよかった。
- まっつ@mattus_1232025年5月21日読み終わったこの本は、これからの私にとってお守り、かつコンパスになる本かもしれない。 同じ日常の繰り返しに、果たしてこの営みを継続することは自分にとって正しいのか。そうやって進路を見失いそうになった時、この本はきっと…
- 深山めい@may-m2025年5月9日読み終わった昨日買った本。SNSで酉島伝法さんが紹介されていてすごく気になったのでひさしぶり行った梅田の紀伊國屋書店で購入。最近では珍しいことにほぼ一気読みでした。 おもしろい、というのは違う。けど、惹きつけられる文章。ストーリーははちゃめちゃだけれどこのあとどうなるのか知りたくて頁をめくる手が止まらない。どうやったらこんな話が書けるんだろうか。脳が揺さぶられるような読書体験でした。
- ないとうなみ@eheheno_he2025年4月27日読み終わった息を詰めてるのに笑ってしまう。 コントに「意味で育った?」と書いた加納さんなら、下から聞こえてくる「糸三味線」の声やパリ千代とどう掛け合うやろう?
- こばこ@chek_honda2025年4月9日買った読み始めた@ 本屋象の旅初めて行った本屋象の旅にて。 本がものすごくたくさんあるわけではないのに、欲しい本が見つけられ、さらに自分の関心を広げてくれるような品揃えだった。須賀敦子全集が文庫で揃って置いてあり、それだけでも素敵だった。また読もうかな。 「まっ茶小路旅行店」の書き出しのリズムが良くてどんどんページが進んでいく。
- saori@pompom_s1900年1月1日読み終わった初子さんの生きる日常は決して平坦でもなければ優しくもないのだけれど、手仕事で生きる方の持つ、強さというものを感じていた。 この作品に出る人はみな、苦しい中でも強い。