monami "アルジャーノンに花束を新版" 2025年6月6日

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2025年6月6日
アルジャーノンに花束を新版
アルジャーノンに花束を新版
ダニエル・キイス,
小尾芙佐
まず、彼の圧倒的な孤独に打ちのめされた。誰も彼を理解することも同情することもできない。そんな人生を歩むことはさぞ苦しいことだろうと思った。 しかし一方で彼のIQの変化は、自分自身の子ども時代の成長の過程に重なる部分もあった。幼い頃は周りの視線なんて気にせず好きに生きていたが、そのような振る舞いがだんだんと恥に押しつぶされるようになった。そんな変化が急速に、一気に訪れたら…というのは考えただけでゾッとする。 と、苦しかろうとか、ゾッとするとかこんな風に言ってしまうのはチャーリイに対して、あまりにも失礼な言い分だと思う。 でも、実際、私はこのように感じたからこそ、読んでいてずっと、彼を擁護してあげたかった。 どの登場人物も不十分であるように感じた。だって、この文章はすべて経過報告なのだから、この文章に目を通してチャーリイを心から思いやる人が居たっておかしくはないだろう。それなのに、皆彼を憎んだり羨んだり突き放したりする。やるせない。
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