
akamatie
@matie
2025年6月6日

ハーモニー
伊藤計劃
読み終わった
10年ぶり、2度目の読了。
争いの時代を越えた人類は、生府に守られ、調和と健康を至上の価値とする社会を築いた。誰もが社会のために生き、争いも病もない世界。
けれどその調和は、個人の意思や感情を抑え込むことで成り立っている。その圧に苦しみ、自ら命を絶つ人も少なくない。それは本当の調和と言えるのか。
自分自身、日々の生活の中で他人との軋轢に悩んでいるからこそ、この理想的な世界の美しさと怖さの両方を強く感じた。
人間の意思が社会に完全に溶け合う世界は、エーリッヒ・フロムが説いた理想の愛の形とも言えるのかもしれない。
伊藤計劃が描いたこの理想郷を超える未来を、これからのSFは描いてくれるのかしら。
