もぐもぐ羊 "戒厳" 2025年6月7日

戒厳
戒厳
四方田犬彦
すごい密度だった。 非常戒厳令が発動されてからのソウルを自分の足で歩いて見て周り、その後の動向の記録も詳細に書かれている。 映画『KCIA 南山の部長たち』で朴正熙暗殺が描かれ、『ソウルの春』では朴正熙亡き後に実権を握った全斗煥の独裁のはじまりが描かれていたのを観たがそれをその本でなぞった気がする。 また光州事件にも触れていて、自身が教え子の案内で訪ねた街で虐殺が起きていること、それが正確に国民に知らされなかったことも書かれていた。 当時のことについて本や映画になっている中でこのような視点で書かれたノンフィクションは数少ないだろうと思う。 日本人が一般市民の視点で見聞きした出来事とそれをどう感じたかを詳細に記録してあること(しかもこの経験をしたのが22-23歳の若い時分であること)で私の中の韓国に関する解像度が上がったので読んでよかった。 よく大統領や政治家が「親日」か「反日」かなどの話題がSNSに流れてくるが、韓国人自身がそこまで日本に興味がないのではないか、といつも思っていた。 日本語ができると仕事に役立つから日本語を学んでいる人が日本を好きな必要はないし、日本のことは好きではなくてもたまたま観光で韓国を訪れている日本人に親切にする人はいると思う。 「親日」か「反日」かをいちいち気にすること自体が自意識過剰で恥ずかしい。 同窓生からお土産にもらった新刊書、あらすじの記載だけで著者もタイトルも書いてなかったが、村上春樹っぽいなと思った。 エピローグでその本が村上春樹だったこと、読んだ当時はこの本の感覚を韓国人は理解できないのではないか?と感じたが現在では韓国で最も売れている日本人作家であることに言及されていた。 フィアットで事故を起こしても同様せずにビールを買って飲むみたいな話、読んだことないし読まないと思うけどタイトルはちょっと知りたい。
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