
ねこ
@notoneko25
2025年6月8日

図書館で読んだ。
「もちろん、人に迷惑をかけない大人になることは大事なんだけど、最近、子育ての正解ってそこにないんじゃないかって思うこともあって」
「じゃ、どんなことが正解なの?」
「成長した子どもが、大人になってから親の子育てを肯定できるかどうか」
スミちゃんが言って、私を見た。
「人生は長いからさ。大人になってから子どもに自分がやってきたことを肯定してもらえないと、いざ対等な状態になった子どもに見捨てられることになるよ。感謝されないし、仲良くしてもらえない。保護者と被保護者はいずれ、介護だなんだで逆転するんだしさ」
以下解説より
自分を傷つけたことを、母親は絶対にわかってくれない。だから、スミちゃんは「なんでわかってくれないの?」とは言えない。それはわかってくれる可能性がない人に対しては発することができない言葉なのだ。
幽霊が生まれるのはここだ。相手が変化することを期待できないならば、自分を変化させるしかない。やり方はシンプルだ。傷ついている自分を消してしまえばいい。
「こういう人なのだ」「どうしようもないのだ」と思って、心を殺す。すると、心は非業の死を遂げる。
スミちゃんの心に起こったのはこれだし、あなたの人生にもそういうことがあったかもしれない。
カウンセリングルームでは、そういう幽霊たちの物語が話し合われる。(省略)それはなかったことにされてきた傷つきに、光を当て、居場所を作る作業だ。これが心の中を徘徊していた幽霊への弔いになる。かつてこんな噛みあわなかった会話があった。そう語り、理解を得ることで、心は傷つきを修復していく。
しかし、実を言えば、それだけでは済まないことも多い。密室で幽霊について話し合っていると、かつての痛みが蘇り、かつて言えなかった言葉が声になろうとする。
凍結されていた過去が解凍され、幽霊が息を吹き返す。
そう、密室に幽霊が出る。密室では時空がゆがむ。そこには他に誰もいないから、容易に過去と現在が、記憶と現実が入り混じる。