噛みあわない会話と、ある過去について

35件の記録
- ニャット@nyat19952025年6月8日過去に何気なく会話した事が噛み合っていなかった事に気付かされる短編集。 ハッとさせられる事ばかりで主人公と自分は、同様であったかもしれないと記憶がパラレルワールド化している気持ちとなった。 人間は、過去を美化していかなければ生きられないのかもしれない。
- ねこ@notoneko252025年6月8日図書館で読んだ。 「もちろん、人に迷惑をかけない大人になることは大事なんだけど、最近、子育ての正解ってそこにないんじゃないかって思うこともあって」 「じゃ、どんなことが正解なの?」 「成長した子どもが、大人になってから親の子育てを肯定できるかどうか」 スミちゃんが言って、私を見た。 「人生は長いからさ。大人になってから子どもに自分がやってきたことを肯定してもらえないと、いざ対等な状態になった子どもに見捨てられることになるよ。感謝されないし、仲良くしてもらえない。保護者と被保護者はいずれ、介護だなんだで逆転するんだしさ」 以下解説より 自分を傷つけたことを、母親は絶対にわかってくれない。だから、スミちゃんは「なんでわかってくれないの?」とは言えない。それはわかってくれる可能性がない人に対しては発することができない言葉なのだ。 幽霊が生まれるのはここだ。相手が変化することを期待できないならば、自分を変化させるしかない。やり方はシンプルだ。傷ついている自分を消してしまえばいい。 「こういう人なのだ」「どうしようもないのだ」と思って、心を殺す。すると、心は非業の死を遂げる。 スミちゃんの心に起こったのはこれだし、あなたの人生にもそういうことがあったかもしれない。 カウンセリングルームでは、そういう幽霊たちの物語が話し合われる。(省略)それはなかったことにされてきた傷つきに、光を当て、居場所を作る作業だ。これが心の中を徘徊していた幽霊への弔いになる。かつてこんな噛みあわなかった会話があった。そう語り、理解を得ることで、心は傷つきを修復していく。 しかし、実を言えば、それだけでは済まないことも多い。密室で幽霊について話し合っていると、かつての痛みが蘇り、かつて言えなかった言葉が声になろうとする。 凍結されていた過去が解凍され、幽霊が息を吹き返す。 そう、密室に幽霊が出る。密室では時空がゆがむ。そこには他に誰もいないから、容易に過去と現在が、記憶と現実が入り混じる。
- 四月@oic_2025年6月4日読み終わった読み進めるたびに気分が沈んでいく。 それでも面白くて最後まで読んでしまう。 お話や描写がとてもリアルで、自分の過去と重なるものもあった。 自分は語り側ではない方に感情移入しがちだったけど、 無意識のうちに自分も誰かに同じことをしてる可能性だって 無いとは言いきれない… それが何よりも怖かった。
- のぐ@liebe_buch2025年4月4日読み終わった4編通して認識の違いの恐ろしさを実感できる話。 読み進めると実は主人公に非がありました~みたいなどんでん返しで面白かった。 ①『ナベちゃんの嫁』:身に覚えしかない会話内容、、でも誰かの1番になるって難しいことだなあ ②『パッとしない子』:高輪くんこっわ。話し方や接し方を平等にするのは難しいけど気を付けなきゃいけない ③『ママ、はは』:1番好き!ホラーチック。殺してて欲しいに一票。 ④『早穂とゆかり』:したたかに復讐。悪と思う部分の違いでも亀裂が入るんだね
- 猫@mao10122025年3月5日かつて読んだ無意識に自分も加害者側になって、誰かを傷つけてしまっているかもしれない。自分を俯瞰して、自分自身と向き合うことがどれだけ難しいことか。 どの話も異なるテイストではあったが、どれも私にとっては充分グロテスクで、ホラーだった。自意識は時に凶器になるね。
- 権子@m_gonko2025年2月26日読み終わった2025/2/26 読了 過去の発言を巡る全4篇の短篇集。全てのお話において、中盤以降から胃がキリキリするお話(笑)人の嫌ぁな部分を的確に表現されていて、安定のダークな辻村作品を味わうことができました😂
- なこ@167otogi2024年3月20日かつて読んだたった一つの出来事でも、とらえ方ひとつでその事実は変わってくる。 過去言った何気ない言葉は誰かをひどく傷つけていて、その事実を突きつけられた時、私はきっと何も出来ずただ傷つけられるしかないだろう。そう思うと人に会うのが怖くなる。 『ホラー』では無いのに背筋の凍るお話でした。