ほせ "1Q84 BOOK3" 2025年6月9日

ほせ
ほせ
@coffee_dog
2025年6月9日
1Q84 BOOK3
1Q84 BOOK3
村上春樹
長いような短いような青豆と天吾が会った時に感じた気分を一緒に味わった気がした。村上春樹の小説は自分の中で流れる水みたいなさらさらと流動的で気付いたら心の中に入ってくる感じなのだが、今回の作品は最後まで気が抜けなくてハラハラした。以前読んだ村上春樹の解説本でこの作品に関して実は4巻を想定して書いていたのではないかと書かれていた。確かに、全体としてとても主人公たちにハッピーエンドだと感じていたけれど、みんなにとって未完成なエンドな気もしてきた。1Q84に残してきたみんなはそのままだし、抜け出した3人も元の世界ではなく新しい世界に入り込んでしまったし…だけどその未完成さに今回は元気をもらった。今の現状が気に入らなくて受け入れたくなかった2人が逃げた先で守るべきものに出会い、どんな世界であっても受け入れて挑んでいく。誰かと一緒にいることの強さを感じた。全部を投げ打ってでも守りたいものに自分も出会いたいと思った。なかなか現実の世界では受け入れたくないことも投げ出したくなることも多いけれど自分が大切にしたいものさえなんとかできればいいのではないかと気が楽になった。私が読んだ今までの村上春樹の作品は主人公が自分をどう確立していくかという作品が多かったが、今回は相手を想うという作品でとても新鮮に感じた。楽しかった。
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