

ほせ
@coffee_dog
なかなか現実に本の話ができる人がいなくて始めました。ベースは記録ですがリアクションしてくれると喜びます。たまに興奮で感想が支離滅裂になっていると思いますがご容赦ください。
- 2025年11月21日
楽園のカンヴァス原田マハ読み終わった原田マハの絵画シリーズを開拓しようと二冊目の本。やばい絵画にハマりそう。美術館に行ってみたくなる。 今回の作品は前回の短編集とは違って一つの絵画にまつわるストーリーが書かれていたので、たくさんではなかったが出てくる絵画を調べながら楽しく読めた!どこまでが史実なのか絵画素人には分からないのでここから調べるのが楽しみ。読み切っても終わらない本の良さを感じる。 結構、知らない単語が出てきているはずなのにスラスラと読んでいけるのは原田マハの文章力あってこそなんだろうと思う。先が気になってしょうがなくて止まらなかった。そして、終わり方が絶妙なんだよ…織絵とティムが上手くいくように願ってしまう。口惜しい感じがより余韻をもたせると言うか、きちんとラストを味わわせてくれる。それでいて読者に希望を持たせてくれるので、キャラクターのその後を思わず想像してしまう。こんな本に惹かれない訳ないのよ…あぁこうやって興味のある分野がどんどん増えていってしまうんだ… - 2025年11月20日
世界のすべて畑野智美読み終わった初めて読んだ作家さんだと思うけど、今時の本だなぁと思った。ここまで現代の波を率直に書いている本を初めて読んだかもしれない。(自分がなかなか単行本に手が届かなくて、新作をすぐに読めないからかもしれないけど…) 多分年代的にはこの世代に区分されて、同じような時代を生きてきたと思うので、共感できる部分は多かった。だけど、個人としてはマイノリティとか性的嗜好に名前をつけて区分することに違和感を感じた。もちろん、区分されることで安心感があったり、自分が一人じゃないことを自覚できたりすることはあると思う。でも、異性愛者の中でもどこからが浮気かとか恋愛観が異なるように、「恋愛」が一人一人違うものだと理解できたら良いのにと思ってしまった。その枠組みの中にいたってみんなが一緒な訳ではないし、趣味の話をするように、同性が好きとか恋愛感情がないとか言う話を、「あぁ自分と相手はその点では違うんだな。」で済ませられないのかと思った。 こう言う自分自身も枠組みの中にいるようなふりをすることが楽な時もあるから(恋愛に限らず…)知らない間に傷つけてしまってたかもと反省する時もある。だから、そんな単純な話ではないことは分かっているけど、多様性な社会にすることを目標にするのではなく、目の前の相手が自分とは違うことを受け入れられる世の中になったらいいなと思った。ある種この本がリトマス紙になって多様性に対してどんな気持ちでいるのかがわかる本だと思った。 - 2025年11月18日
どうしても生きてる朝井リョウ読み終わったある俳優さんが読んだ本に挙げていて気になったので買ってみた本。重い話だというのは読む前から聞いていたけれど、キツかった。 自分が本に出てくる主人公よりも歳が下で経験値が未熟だからこそ、これから飛び込もうとしている社会はこんなにも鬱々としたものを抱えているのかとどうしようもない思いを抱いた。自分でやりたいことを選んでここまで来たと思っているのに、未来が決まり切っているような気がして窮屈さに叫びたくなった。 共感できる部分がある一方で、どこかまだ社会に希望を抱いている自分がいて、それはまだ自分が守られる立場にいるからかもと思った。そんな自分の甘さに嫌になるけど、守ってくれている人への感謝に留めておこうと思った。 一番好きな話は籤(くじ)だった。(全然読めなくて調べました。)完全なフィクションの中で語られる希望や夢に救われることもあるけど、自分が生きてる世界で生き抜く強さにもとても説得力があると感じて勇気をもらえた。人生は地続きだから、その時引いたくじが後になってアタリだったということもある。その人の捉え方次第なのかもと思ったら、強さをもらえた気がした。 - 2025年11月15日
ジヴェルニーの食卓原田マハ読み終わった最近、初めて原田マハの本を読んだので開拓してみようと借りた本。絵画への興味も芽吹き始めたので丁度良いと手に取ったけど、読んで良かった! 絵画への興味があると言っても知識は育んでこなかった自分にぴったりの本。絵画を鑑賞するにはまずは背景からと思っていたのだけど、何から手を付ければ良いのか分からなかった。けど、この本を通して画家や絵画に具体的なエピソードが付いて画家の人物像が想像しやすくなったり、絵画がどんな状況で描かれたものなのかが覚えやすくなったりした。 本当に有名な絵しか知らないので本に出てくる絵がどんなものかを想像して、後から実際の絵を見て抱いていたイメージとの違いを知るのも楽しかった! 遠い時代で違う国に生きた画家やその周りの人が原田マハさんによってそれこそ、生き生きと描かれていて一気に親しみを抱いた。絵画にまつわる本を他にもいくつか出しているそうなので他の本も読んでみようと思う。 - 2025年11月14日
読み終わった長編の作品が読みたくて借りた。今まで読んだ村上春樹とは少し違った印象を受けた。 私が読んだ限りだけど、ここまで事実的な話が出てきたことがなかったよう思った。ナチス時代のドイツの話がちょこちょこ出てきて、私自身はそこら辺の歴史に少し興味があるので楽しんで読んでいたが、これまで読んだ作品を振り返ると一味違う感じがした。そのおかげか、個人的に村上春樹から感じるテーマの一つに曖昧さをそのままにしておくと言うものがあるけど、その感じが控えめな気がした。 あとは、日本の文化的な部分を描くところも初めて読んだかもしれない。村上春樹の小説の要素としてクラシックや他の国の話が出てくることが多くあっる。もちろん今回もあったけど、主軸の騎士団長殺しの絵画は日本がで描かれていたり、他にも仏教的なアイテムがあったり、どこか日本の怪談話を感じる場面もあった。いつも洋書の様な感覚を与える彼の小説から日本的な要素を語られることに新鮮さを感じた。 キャラクター的にはあまりキャッチーな人物は出てこないけど、全体的にゆっくり静謐な感じで話が渦巻いていく感じが好き。ハラハラドキドキと言うよりは、見えないところでゆっくりと事態に巻き込まれていく感じで面白かった。続きが読みたい! - 2025年11月8日
金曜のバカ越谷オサム読み終わった初めて読む作家さんだったけどタイトルに惹かれて借りた。あらすじも何も書いてなかったので、内容が全く分からない状態で読み始めた。久しぶりでちょっとワクワクした。 内容は短編集で多分世界線は繋がってない…と思う。好きだった話は、金曜日のバカと僕の愉しみ 彼女のたしなみかな。 金曜日のバカは女子高生と変質者が毎週金曜日にバトルする話で、小説ならではのぶっ飛んだ設定が面白かった。二人の間の関係性が戦うごとに変化していくのが良かった。ちょっぴり変質者を応援してしまうような展開の持っていき方が上手いと思った。でも一線は越えない感じが儚さを感じて好きでした。 僕の愉しみ 彼女のたしなみは、オタク気質だとやっぱり気になるよねと共感した。私も(この文を見て分かる通り…)熱が入ると相手に押し付けてしまうことがあるので、喋りすぎないように理性を保とうとしている感じが身に覚えがありすぎて…いつも聞いてくれる友よありがとう…上手に調節して話せないから、周りに語れる人がいなくて諦めてしまう感じもわかる!だからこそラストに救われた。ちょっと希望を持って、話したいと思った人には話していきたいな。(ここでも発散していきたいです。) - 2025年11月7日
ハートブレイク・レストラン松尾由美読み終わったさらっと読める話が読みたくて借りた本。ちょっとした謎解きを楽しめる本だった。一個前に読んだ本に引き続きミステリーだったけど、日常に近い謎で短編集なので何個か出てくるので解き明かすと言うよりは回収される伏線を楽しめた。 不思議なおばあちゃんが謎を解き明かすんだけど、アガサクリスティみたいだった。この作品のおばあちゃんも上品で謙虚でありながら、ちょっと人懐こいところがあって好きなキャラクターでした。こう言う人になりたい…主人公と南野さんの関係性がじっくり変化してく感じも好き。この本の舞台である喫茶店の描写も素敵で、こんな喫茶店があったら通っちゃうかも。 日常の中にちょっとしたワクワクを添えてくれる素敵な本でした。 - 2025年11月7日
仮面山荘殺人事件 新装版東野圭吾読み終わった先輩に勧められて借りた本。めちゃくちゃ面白いと言われて読んだけど本当に面白かった! ミステリーがそもそも好きなので、色々と考えながら読んだけど当たらずとも遠からずっていう感じのラストだった。謎に挑戦して当てる楽しみを感じながらもしっかりラストまで騙されて楽しかった!本当にフジが存在するのかなとか雪絵が高之に恋心を抱いていたっぽいとか考えてたけどまさかあんなラストになるとは… 展開は目まぐるしいけど犯人が全然読めなくて、残りページを感じながら、こんだけで本当に全てが明らかになるのかなとドキドキしながら読んだ。ラストの畳み掛けもテンポが良くて、情報量が多いながらもしっかり何が起こっているのかわかるところにに東野圭吾を感じた。東野圭吾は本当に理解しやすい文章を書くのが上手いですよねと思った。好きだけどあまり多くを読んだ作家さんではないので、もっと読んでみようかなと思った。 とてもおもしろかったけど自分ではあまり手を出さない本だと思うので、先輩に感謝を込めて感想を伝えたいと思います。 - 2025年10月30日
自由の牢獄ミヒャエル・エンデ,田村都志夫読み終わった小さい頃に果てしない物語が好きだったことが懐かしくなって読んでみた。 自分が疲れてたのもあってなかなか理解するのが難しかった。短編集でどの話も現実と他の世界が存在する半幻想の世界観だった。好きな話はマックス・トムの手記と自由の牢獄かな。現実と半々よりか全くの別の世界線の方が受け入れられやすいかもしれない。半々の世界線だと急に他の世界観が現れることにちょっと恐怖感みたいなものを感じた。 わかりにくい世界観でありながらも共感できる部分はとても共感できた。例えば、自由の牢獄で男が扉を選ぶ場面では一つ選べば、他の扉の結末を知ることができないという部分では本当の人生みたいだなと感じた。訳者のあとがきでも訳者が作者と会った時に物語に解説をつけるのが、好きじゃないと言っていたという話があった。(訳者もそれに乗っ取ってあとがきを書いている感じがよかった。)私も解説を読むのは楽しいけどはっきりしすぎず、討論するのが好きなのでとても共感できた。何か明確な意図を読み取るよりも物語として楽しんで欲しいとあって、今回私が物語の全部を読み取れなかったことも、肯定してくれているような気がした。分からないなりに他の本も読んでみようかなと思った。 - 2025年10月27日
仕事と人生に効く教養としての紅茶藤枝理子読み終わった最近紅茶が気になっているので、基礎的なことを知っておこうと読んでみました。 なかなか人類史において紅茶を含む「茶」が深く関わっていることがわかっておもしろかった。時には戦争まで引き起こしたり、闘争が起こったりしていて、現代においてこんなにたくさんの茶の種類があるのは、長年愛されてきたからなんだなということが感じられた。 ヨーロッパでお茶会などが教養として発展したのは日本の茶の文化に影響を受けたという話にとても日本人の気質が感じられた。中国から発祥したお茶は、当時また薬としての役割が大きかったそうだが、日本人は闘茶と言って利き茶をして遊んでいたそう。様々なことを文化的に昇華させる日本ぽさを感じておもしろかった。 茶の歴史だけでなく種類ごとの発展の仕方や礼儀作法までありとあらゆることが書かれていていい勉強になった。ちょっと引き続き学んでいこうかな。 - 2025年10月26日
よだかの片想い島本理生読み終わった最近気になっている作家さんなのでちょっと読んでみた。やっぱりこの人の書く恋愛が好きだなぁ。 前半の彼女が置かれている状況が刺さりすぎて辛かった。彼女ほどわかりやすいものではないけど、自分の容姿に自信がない人はとても共感できる話だと思う。自分の容姿が整っていないことは自分が一番知っているのに、いつだってその事実を知らしめてくるのは周りの反応で。周りも悪意を持っている訳ではなくて、自分の容姿が整っていないことが常識だからこそ生まれる言葉だったり、表情だったりに傷つく。無条件に人をハッとさせる美人にどうしようもなくなりたくなる時がある。誰も悪気がないからこそ行き場のなかった思いが、飛坂さんとの出会いに救われるアイコを通して救われたような気がして涙が出そうだった。 最後の展開は切なくてしょうがなかった。どちらかというと飛坂さんに感情移入した。アイコの救世主だった飛坂さんもまた、周りの常識に苦しめられている人なんだよねぇ。だからこそ惹かれ合ったんだけど…お互いに強くないから相手に自分の弱さを受け入れてくれる強さを求めていて。こんなにハッピーエンドを願った二人はいなかったかもしれない。とても心に残る一冊になりました。(画像の方じゃなくて黄色いイラストの装丁だったんだけど余韻に浸れる装丁で好きです。) - 2025年10月26日
罪と罰 上ドストエフスキー,F.M.,江川卓読み終わった前々から存じ上げていた本ですが…もっと哲学的な話だと思っていたので、内容的には読みやすかった!けど、主人公が常に語り手の文章で思考があっち行ったりこっち行ったりしていたので慣れるまではちょっと読みづらかった。 本当に人の頭の中で考えていることを、そのまま文章にした感じで、その分臨場感とか感情の起伏が伝わってきやすくて振り回された。自分がいつもしている思考を疑似体験している感じで不思議な感覚だった。 文の形態に慣れてからはぐんぐん読んだ。主人公の罪がどんな罰を受けるのか(今の時点でのタイトル解釈だけど…)気になって。上巻でこんなにたくさんの出来事が起こってどう下巻につながるのかも楽しみ! あと、絶対に個人的なことだけど、多分ロシアの文学に触れたのが初めてで名前が覚えづらい…泣。元々カタカナの羅列を覚えるのが苦手なのに、長くて、愛称まで出てきて…ロシア語を感じ、世界史の苦い記憶を懐かしく思いました。 - 2025年10月21日
読み終わったずいぶんと前に買った本で一度読んだはずなのに、全く内容を覚えていなかったので再読した。読み進めると案外覚えているもので、記憶と結末の答え合わせの感覚で楽しめた。 食堂の店主とお手伝いがご飯にまつわるちょっとした謎を解き明かす物語で、主に店主がお店の傍ら開催するお料理教室が舞台となる。とにかく料理の描写が素敵!出来上がるご飯が美味しそうというのもあるけど、食事に対する考え方が素敵で苦手意識がある自分も料理に挑戦したくなる。 ちょっとした謎の部分も心温まる。出てくるキャラクターも完璧人間ではなくて、ちょっとした苦味がある人も出てくる。だけど不快になるほどではなくて物語のアクセントになっていて絶妙だなと思った。靖子先生みたいな少しミステリアスでおおらかな人になりたい… - 2025年10月20日
老人と海アーネスト・ヘミングウェイ,高見浩読み終わった表紙に惹かれて手に取った本。時代背景の差でわかりづらい表現もちょいちょいあったけど、臨場感のある文章で引き込まれた。なぜ、一匹の魚を釣るだけでこんなにドラマを感じる本になるのかと驚いた。名作と呼ばれる所以を目の当たりにした気がする。 一番印象に残っているのは老人が魚を生で食べるシーン。考えてみれば刺身と一緒なんだけど、狩る側と狩られる側の距離が近くてやけに生々しく感じた。自分が普段食べているものとも同じ関係なのに、忘れていたことを実感させられた。また、そこに老人がカジキにかける思いが伝わってきた。 だからこそ、終盤の展開が心にくる。そこもまた、自然の厳しさと言うか、なんとも言えないやるせなさが湧き上がった。こういうところがまた海に出る要素なのかもしれないと思った。老いとの戦いの話でありながら、海という様々なものを内包した存在の魅力も見せてくれる話だった。 - 2025年10月16日
真綿荘の住人たち島本理生読み終わった買ったもののなぜか長らく途中で止まっていた本だったのだけど、なんで最初に読んだ時に最後まで読まなかったんだろうと思うほど面白かった。真綿荘という下宿に住む住人やその周りの人それぞれの視点で話が展開されていく短編集。 どの語り手も個性的なキャラクターでありながら、どこかこじらせている部分があって、いや、わかるーと思うことが多かった。最初に自分とは全然違うと感じたキャラクターが自分と似たような悩みを持っていて心から応援したくなったり、自分と似たような性格のキャラクターが見せる強さに勇気づけられたりして、現実に語り手たちと出会って知り合っているような気分になって楽しかった。 特に好きな話は、清潔な視線と真綿荘の恋人でした。みんな不器用すぎて大好き。特に小説ラストの話である真綿荘の恋人は、もう、本当に、もっと言葉にせぇ!と思ったけど、そのめちゃくちゃ遠回りする感じが2人らしいと思ったり…ラストで晴雨さんが法的に対等ではなく、一方的に千鶴を所有しようとするところがめちゃくちゃ素敵でした。(なぜこんな感想になるかは本編で) どのキャラクターもそれぞれの恋や人生を応援したくなる!好きな本がまた一冊追加されました。 - 2025年10月14日
汚れた手をそこで拭かない芦沢央読み終わった近頃、同じ作者さんを数珠繋ぎで読むことが多かったので、今まで読んだことがない作家さんを読んでみようと選んだ本。こう言う本好きです! 自分の日々の中にも出てきそうなちょっとした過ちがどんな展開を迎えるのかページを繰る手が止まらなかった。短編集で何編か入っているのだけど「埋め合わせ」っていう話が一番好き。何かミスをした時にここで食い止まればまだマシだと冷静に考えたらわかるのに、当事者になったらミス自体を無かったことにしようとドツボにハマってしまう。で、最悪の結果に陥る。その感じに身に覚えがあるなぁと。もしかしたらなんとかできるかもしれないという希望がね、厄介だよねと思いながら読んでました。今ふと思ったんだけど、短編集って「どの話が好き?」ができるのいいよね。 どの話もタイトルが秀逸で読み終わった時にタイトルに余韻を感じたり、納得したりできるのも楽しかった。表題作がなくて、この短編集にこの名前をつけるセンスがすごい。どの話にも通ずるタイトルでありながら、余白がある。どんな場面での言葉なのか読み手に想像させる感じがこの本の魅力を最大限に引き出してる気がする。このタイトルに惹かれて買った私、グッジョブ! 他の作品も読みたい!と思える出会いでした。 - 2025年10月12日
スプートニクの恋人村上春樹読み終わったふと村上春樹が読みたい病が発症して買った本。好きな作家さんは多いし、村上春樹を長く読んでいるわけではないのに不思議と村上春樹の気分になる時がある。私の場合は主に疲れた時なのだけれど。何もわからないのがいいのかも。作者の意図というより自然体で綴られた言葉な気がして、裏というか先の展開をいい意味で考えないから気が楽なのかな。まだまだ模索中です。 あらすじに恋愛がメインに押し出されているのが珍しいなと感じたので読んでみた。(考えたらそんなこともないかも)恋愛の難しさは釣り合わないことにあると思う。相手と自分の想いの量や恋愛とそれ以外の比重だったりに差があることで、寂しさや虚しさが生まれる。そんなことが凝縮した本だった。 ただ、当たり前だけど恋愛関係以外の関係性もこの世にはたくさん存在している。自分が望んだ相手と恋愛関係を結べなくても、友愛とか親愛とか雑多な関係をを内包した関係性は結べるのかもしれない。そういった割り切れない関係は、良くも悪くもかけがえのないもののような気がした。双方が名付ける関係が違うのも案外面白いかも。でも、普通望んでいなかった関係性を続けるのはしんどい!それを続けるところにぼくの愛があるなぁと感じた。 - 2025年9月25日
バイバイ、ブラックバード<新装版>伊坂幸太郎読み終わったReadsで知った本で気になったので読んでみた。伊坂幸太郎の本をまだ2、3冊くらいしか読んだことがなく、私の中では、まだ作家性を掴みきれていない作家さんだったので、彼らしい作品だという帯も後押しして買いました。面白かった。特効薬のような面白さじゃなくて漢方みたいな感じかな。後からじわじわと聞いてくる感じ。感情的な登場人物が少ないからかちゃんと第三者として物語を読めた。誰にも完璧な感情移入はしないのだけど、共感できる部分があって、新たに人と出会う時に感じる楽しさを感じた。自分との共通点や違う点を感じながら相手の考え方を知り、そんな考え方もあるのかと知る面白さ。5人の女性は男と別れる女というところで共通しているけれど受け入れ方もどんな結末を迎えるかもそれぞれで、人間の本性は別れ際に現れるのかも知れないと感じた。一生の別れだけでなくても、遊んだ日の別れ際とか。確かに「別れる」ということに対する考え方は、その人の人となりが現れるなと経験を振り返って思った。作者インタビューも面白かった。常々物語を紡ぎ出す人はどんな頭をしているのかと思っているのですが、少しだけ覗き見られる感じがした。この作品がゆうびん小説なこともここで知ったのだけど、いいなぁ。楽しそう。太宰治のグッドバイを読んだらもっと楽しめそうなので読んでみたい! - 2025年9月14日
100万回生きたきみ七月隆文読み終わったさらりと読みたいと家の本棚から一冊。多分私が買った本ではないので未読だった。タイトルのきみが誰を指すのかは最後まで読んでからのお楽しみという本だった。説明的でないのに、結構時系列が入り乱れている部分がありながらも分かりやすく読めた。現代でない描写がファンタジー小説ぽくて作者の古代ファンタジー的な舞台の本があったら読んでみたいと思えた。「きみ」の正体は、明確に言われるまで分からなかった。ミアンかと思ったのになぁ…結ばれるだけではなく、幸せを見守ることもまた愛なのかもしれない。作者さんの「ケーキ王子の名推理」や「僕は明日…」(映画)が好きなので世界観や言い回しにすんなりと入れた。完全なるハッピーエンドではないのかもしれないけど、清々しい読後感で良かった! - 2025年9月2日
世界99 上村田沙耶香読み終わった自分で本を選ぶと好みのものに走ってしまうことが多くて(自分にドンピシャなものを見つけるのも醍醐味ではあるけれど…)新たな開拓を求めて友達に誕プレとしてどれでもいいから本を一冊欲しいとおねだりしてもらった本。いや〜作家さんの他の本を読んだことはあったので予想はしていたけど、いい意味で嫌悪感を掻き立てられた。何回吐き気がしたか…ベースは現代に似た世界。ところどころ見慣れないその世界の単語があってそれが何なのかは明確には説明されず、話の文脈から察していくのが面白かった。だけど何かしら現実の言葉で代入できそうなものが多くてゾッとした。でも、世界99はわかる気がした。感情的になっている横ですごく冷めた自分がいて、感情的であることが求められれば求められる場面であるほど乖離して行く自分がいる。あと1番共感したのは主人公の幼少期の人格を作る所。相手の望む人格に合わせちゃうのはあるなぁと思った。上巻の最後で主人公の人格が大きな変化を遂げて今後どんな展開が待っているのか全く想像がつかないので早く下巻読みたいなぁ。買うかぁ。新たな楽しみをくれてありがとう友よ!
読み込み中...