高卒派遣社員 "歴史の本棚" 2025年6月10日

歴史の本棚
歴史の本棚
加藤陽子
日本の近現代史を復習しようとしたことがあるなら、加藤陽子は必ず通る道だろう。そんな彼女が毎日新聞に連載した書評が一冊にまとめられたのが本書である。 大部分は歴史書やそれに類するものが多いが、近現代のどこを切り取ったとしても評者としての鋭い切り口が冴え渡る。 書評の文の芸にも目を見張るものがある。 神藏美子の写真集『たまきはる』評は、まさに芸が冴え渡る文章だった。「写真集の面白さを言葉だけで伝えるのは至難の業」としながらも、判型やタイトルを皮切りに過去作との繋がりを手繰り寄せながら、神藏の写真の本質に迫っていく。そして評の締めくくりに「著者の生み出す写真集は文学の王道そのものだ」と断言する。 久しぶりに読み応えのある書評を読んだ。
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