
ヨル
@yoru_no_hon
2025年6月10日

トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫)
フィリパ・ピアス
@ 山形県
『トムの目のまえにあらわれる庭園は、一日のうちのいろいろな時間、ちがった季節をあらわしていた。庭園がいちばんすきな季節は夏で、それも晴れわたった天候のときだった。初夏には、芝生のところにある三日月型の花壇にまだヒヤシンスが咲き残っていた。まるい花壇では、ニオイアラセイトウが咲いていた。やがてヒヤシンスが頭をたれて枯れ、ニオイアラセイトウもひきぬかれてしまうと、こんどはアラセイトウやエゾギクが、それにかわって花をひらいた。温室の近くに、刈りこんであるツゲの茂みがあったが、その横腹はまるで大きな口のようにへこんでいた。そのへこんだところには、咲きほこっているゼラニウムの鉢をぎっしりとつめてあった。日時計の小径のあたりには、まっかなケシの花やバラが咲いていた。夏の日がくれると、ツキミ草があちこちで小さな月のようにかがやいた。晩夏には、煉瓦塀の上で熟しかけている西洋ナシが、傷つけられないようにモスリンの袋につつんであった。』
夏は植物が咲き乱れる季節。息子を見送ってからすぐ庭仕事をするのが日課になっている。アジサイ、クレマチス、その他色とりどりの花たちに囲まれて、黙々と作業する時間はわたしにとっては癒しの時間でもあり、私服の時間。
この本を読んでいると《真夜中の庭》も見てみたくなる。









