橋本吉央 "責任の生成" 2025年6月10日

橋本吉央
橋本吉央
@yoshichiha
2025年6月10日
責任の生成
責任の生成
國分功一郎,
熊谷晋一郎
非常におもしろかった。多くの人に読んでほしい気持ち。 自分が今この瞬間にゼロから意志やモチベーションを作り出し、何かを成し遂げるというような、近代的個人の意志と自己責任論をベースにした世界の捉え方に疑問を呈すという意味で、『弱さ考』とも通ずるところがあったように思う。 社会の秩序から見て問題行為とみなされることを起こした人に対して、その人の責任を追求するということはよくあるが、実際には、その人がその行為に至った経緯には、中動態的に様々なファクターがあり、そしてそれは本人にも十分に意識されていないことが多い。そういうことを無視して、本人のその時の「意志」というものだけにフォーカスするのでは、本当の「責任」につながらないのではないか、という話は、非常に納得感がある。 個人的には、自分の身の回りでどのようにその考え方を活かせるだろうか、ということに思いを馳せている。特に、仕事をする組織の中で、なかなか思うようにパフォーマンスを出せなかったり、あるいは問題を起こしてしまうことが多かったりする人がいたような時に、当事者研究的に環境をみんなで見てみる、というアプローチができたら、変わるものは多いのではないかと感じた。本書でも言及されている通り、かなり、コストがかかるアプローチではあるので、簡単ではないけれど、そういうものの見方がある、ということだけでも頭に入れたい。
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