
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年6月10日

犬に話しかけてはいけない
近藤祉秋
読み終わった
自宅
第7章。カリブーの民とオーロラの話がとりわけ美しかった。「ぬくもり」という視点にも惹かれるものがあった。〈人間身体と動物部分のサイボーグとして構成されるディチナニク、生者-死者-動物の分ちがたい(一時的な)身体化を生きるグィッチン、個体的人生と物語の集合的人生の狭間でモノ(ノケ)を見出すドゥニーザ[...]本章で提起した「共異身体」論は、マルチピーシーズ民族誌における「共異体」の議論に「ぬくもり」の視点を取り入れるものであるとも考えられる。〉(167頁)
第8章。そもそも「身内」とはどのような存在か。「目的としての交感」と「手段としての(実用的な)交感」の間にある差異、そして「交感しすぎない」という知恵。〈実用的な交感を生きる者たちにとって、多種との交感への不安が前景化するのは、多種を真剣に受け取っているからに他ならない。〉(183頁)
おわりに。生命/生態系中心主義に回収されない人間中心主義への批判は大事だと思っていたので参考になった。人々(ピープル)を置き去りにしないこと。そして、逃れられない「絡まりあい」の中で息をひそめるための技術(知恵)について。〈内陸アラスカでの「ともに生きる」ことは、ベストの状態で「世界をつくる実践」に携わることができるような関係性をともに築くことである。〉(194頁)
難しい議論もあったけれど、様々なインスピレーションをもらえた。

