
大道幸之丞
@ohmichi
小説作法的に言えば仏教の極説「法華経」を深めた感動を一組の夫婦の往復書簡形式で触れているモチーフの作品。
多くの文字数を割いた人間の業や生命、善悪は全て「法華経」に依るもので、それ以前の爾前経ではここまで深める事は出来ない。また、宮本作品の特徴でもあるが、登場人物全てがまるで主人公のように活き活きと描写されている。中でも私には瀬尾由加子と、星島照孝の存在感が印象に残る。
本作の中でもこの二人の振る舞いは絶対的な存在感と強さを持っていると思う。
卓越した筆力の作品群がゆえ映画化では毎度難しさを持つ宮本作品であるが、本作は映像化されるとするとどんなキャスティングになるのか楽しみでもある。